退職金は何年目からもらえる?1年・2年・3年・5年の目安と確認方法

「退職金って、何年働けばもらえるの?」

「勤続2年で辞めたら退職金はゼロ?」

「あと数か月で勤続3年になるけど、そこまで働いた方が得なのかな?」

退職を考え始めると、気になるのが退職金をもらえる勤続年数ではないでしょうか。

結論からいうと、「○年以上働けば必ず退職金を支給しなければならない」という全国一律のルールはありません。

退職金制度そのものを設けるか、何年以上働いた人を対象にするかは、会社によって異なります。

ただし、「退職金は3年働かないともらえない」と聞いたことがある方も多いでしょう。

これには理由があります。

厚生労働省の「令和5年就労条件総合調査」では、自己都合退職の場合、退職一時金をもらうために「3年以上4年未満」の勤続年数を条件としている企業が57.0%でした。
このことから、「退職金は3年以上働いてから」と言われることが多い理由の一つだと考えられます。

つまり、「3年」は法律で決められた基準ではないものの、退職金の支給条件として採用されていることが比較的多い勤続年数と考えることができます。

この記事の結論

  • 退職金をもらえる最低勤続年数に全国一律のルールはない
  • 退職金制度そのものがない会社もある
  • 公的統計では、自己都合退職の最低勤続年数を「3年以上4年未満」とする企業が多い
  • 「3年目」と「勤続3年以上」は意味が違う
  • 正確な条件は自分の会社の就業規則・退職金規程で確認する

この記事では、退職金は何年目からもらえるのかを、勤続1年・2年・3年・5年・10年以上に分けて解説します。

さらに、自己都合退職、試用期間、契約社員から正社員になった場合、あと数か月で支給対象になる場合の考え方まで解説するので、退職日を決める前に確認してみてください。

  1. 退職金は何年目から?全国一律の決まりはない
    1. 退職給付制度がある企業は74.9%
    2. 「退職金は3年から」と言われるのはなぜ?
  2. 退職金は1年・2年・3年・5年・10年でどうなる?
    1. 勤続1年で退職金はもらえる?
    2. 勤続2年で退職金はもらえる?
    3. 勤続3年なら退職金はもらえる?
    4. 勤続5年なら退職金はいくら?
    5. 勤続10年以上なら見込み額も確認する
  3. 「3年目」と「勤続3年以上」は違うので注意
    1. 2年11か月で辞める場合は特に確認する
    2. 最終出勤日ではなく「退職日」にも注目する
  4. 退職金の条件はどこを見れば分かる?
    1. まず就業規則を確認する
    2. 退職金規程では5項目をチェックする
  5. 試用期間は退職金の勤続年数に入る?
  6. 契約社員から正社員になった場合は何年で計算する?
  7. パート・アルバイト・契約社員でも退職金はもらえる?
    1. 中小企業退職金共済を利用している会社もある
  8. 自己都合退職でも退職金はもらえる?
  9. 退職金はいくら?勤続年数だけでは決まらない
    1. 基本給×勤続年数などで計算する方式
    2. ポイント制で計算する方式
    3. 退職理由によって支給率が変わる方式
  10. あと数か月で退職金をもらえるなら待った方がいい?
    1. ①退職金の対象になる正確な日を確認する
    2. ②退職金の見込み額を確認する
    3. ③給与・賞与・有給も含めて比較する
    4. ④転職先の入社日も考える
    5. ⑤仕事を続ける負担が大きいなら金額だけで決めない
  11. 退職金はいつ振り込まれる?
    1. 最終給与と退職金は別に振り込まれることもある
  12. 退職金には税金がかかる?
    1. 退職所得控除はいくら?
    2. 退職所得は原則「(退職金-退職所得控除)×1/2」で計算する
    3. 「退職所得の受給に関する申告書」は重要
    4. 申告書を提出しないと20.42%が源泉徴収される
  13. 退職金が出ない・金額がおかしいと感じたらどうする?
    1. まず5項目を確認する
    2. 人事・総務へ計算根拠を確認する
    3. 規程どおり支払われない場合は相談窓口を利用する
  14. 退職日を決める前に確認したい7項目
  15. 退職金は何年目から?よくある質問
    1. 退職金は1年働けばもらえますか?
    2. 退職金は3年以上働かないともらえませんか?
    3. 勤続2年11か月で辞めたら退職金はもらえませんか?
    4. 「3年目」なら勤続3年以上になりますか?
    5. 3年働いたら退職金はいくらもらえますか?
    6. 5年働いたら退職金はいくらですか?
    7. 自己都合退職でも退職金はもらえますか?
    8. 契約社員やパートでも退職金はもらえますか?
    9. 試用期間は退職金の勤続年数に入りますか?
    10. 退職金はいつ振り込まれますか?
  16. まとめ|退職金は「何年目から」より自分の会社の規程確認が重要
  17. 参考資料

退職金は何年目から?全国一律の決まりはない

まず知っておきたいのは、退職金は会社員なら必ずもらえるお金ではないということです。

退職金制度について、すべての会社に導入を義務付ける法律上のルールはありません。

そのため、会社によっては退職金制度そのものがない場合があります。

一方、退職金制度を設けている会社では、就業規則や退職金規程などで、対象者や支給条件、計算方法などが定められています。

労働基準法89条では、退職手当について定める場合、就業規則に次のような事項を記載することとされています。

  • 退職金制度が適用される労働者の範囲
  • 退職金の決定・計算方法
  • 退職金の支払方法
  • 退職金の支払時期

つまり、ネット上で「退職金は3年から」「5年働けば○万円」と書かれていても、それだけで自分の退職金を判断することはできません。

最終的には、自分の会社の退職金規程を確認する必要があります。

退職給付制度がある企業は74.9%

退職金制度がどのくらい普及しているのか、公的な統計も確認してみましょう。

厚生労働省の「令和5年就労条件総合調査」では、調査対象となった常用労働者30人以上の民営企業の74.9%に、退職給付(一時金・年金)制度がありました。

企業規模別では、次のようになっています。

企業規模 退職給付制度がある企業割合
1,000人以上 90.1%
300~999人 88.8%
100~299人 84.7%
30~99人 70.1%

ただし、この数字は「すべての会社の74.9%」という意味ではありません。

この調査は常用労働者30人以上の民営企業を対象としたものです。

また、「退職給付制度」には退職一時金だけでなく、退職年金なども含まれています。

そのため、まずは自分の会社にどのような制度があるのか確認することが大切です。

「退職金は3年から」と言われるのはなぜ?

「退職金は勤続3年以上から」と聞いたことがある方も多いでしょう。

しかし、法律で「3年以上働けば退職金を支給する」と定められているわけではありません。

一方で、厚生労働省の資料に掲載されている平成30年就労条件総合調査では、退職一時金を受け取るために必要な最低勤続年数について、自己都合退職では次のような結果が示されています。

最低勤続年数 自己都合退職
1年未満 3.2%
1年以上2年未満 15.0%
2年以上3年未満 9.7%
3年以上4年未満 56.2%
4年以上5年未満 1.6%
5年以上 10.9%

このデータを見ると、「3年以上4年未満」を最低勤続年数としている企業が半数を超えています。

そのため、「退職金は3年以上働けばもらえる」というイメージが広がっていると考えられます。

ただし、これは平成30年の調査データであり、すべての会社に当てはまる基準ではありません。

「3年」が目安になるケースは多いものの、自分の会社が3年以上を条件にしているとは限らないことを覚えておきましょう。

退職金は1年・2年・3年・5年・10年でどうなる?

勤続年数ごとの考え方を先に整理すると、次のようになります。

勤続年数 退職金の考え方
1年 支給対象になる会社もあるが、最低勤続年数を満たさない場合も多い
2年 「勤続3年以上」が条件なら原則としてまだ対象外
3年 最低勤続年数を満たす可能性が高まる。規程の確認が特に重要
5年 支給対象かだけでなく、退職金の計算方法も確認したい
10年以上 勤続年数による金額差が大きくなることがあるため、見込み額の確認がおすすめ

それぞれ詳しく見ていきましょう。

勤続1年で退職金はもらえる?

勤続1年だから必ず退職金がゼロになるわけではありません。

会社の退職金規程で「勤続1年以上」を支給対象としていれば、勤続1年でも退職金を受け取れる場合があります。

一方、最低勤続年数が「3年以上」「5年以上」などに設定されていれば、勤続1年では支給対象になりません。

したがって、

「1年働いたのだから少額でも必ず退職金が出る」

とは考えない方がよいでしょう。

勤続2年で退職金はもらえる?

勤続2年前後で退職を考えている場合は、最低勤続年数を必ず確認してください。

たとえば会社の退職金規程に、

「勤続3年以上の従業員に退職金を支給する」

と書かれている場合、勤続2年で退職すると通常はその条件を満たしません。

特に注意したいのが、勤続2年10か月や2年11か月で退職を考えているケースです。

あと1~2か月在籍することで退職金の対象になるのであれば、退職日を少し変えるだけで金銭的な差が生じる可能性があります。

退職日を決める前に、具体的な日付を人事・総務へ伝えて確認しておきましょう。

退職金だけでなく、「そもそも退職日は自分で決められるの?」と疑問に感じている方は、退職日は誰が決めるのか、希望日に辞めるための考え方も確認しておきましょう。

勤続3年なら退職金はもらえる?

勤続3年は、退職金を考えるうえで一つの重要なタイミングです。

先ほど紹介した公的統計でも、自己都合退職について最低勤続年数を「3年以上4年未満」と設定している企業が多くみられました。

ただし、勤続3年になれば必ず退職金をもらえるわけではありません。

会社によっては、

  • 勤続1年以上
  • 勤続2年以上
  • 勤続3年以上
  • 勤続5年以上

など、異なる条件を設定しています。

また、「勤続3年以上」の会社では、次に解説する「3年目」と「勤続3年以上」の違いにも注意してください。

勤続5年なら退職金はいくら?

勤続5年になると、「退職金をもらえるか」だけでなく、いくらもらえるのかも確認したいところです。

ただし、退職金に「5年なら全国一律で○万円」という金額表はありません。

会社によって、

  • 勤続年数
  • 基本給
  • 役職・等級
  • 会社独自のポイント
  • 自己都合・会社都合などの退職理由

などを使って計算します。

そのため、インターネット上で「勤続5年の退職金平均○万円」という数字を見つけても、自分の会社から実際にもらえる金額とは限りません。

勤続10年以上なら見込み額も確認する

勤続10年、15年、20年と長く働いている場合は、最低勤続年数を満たしているかだけでなく、実際の退職金見込み額も確認しておきたいところです。

退職金制度によっては、勤続年数が長くなるほど支給率やポイントが増える仕組みになっています。

また、自己都合退職・会社都合退職・定年退職などによって支給率を分けている会社もあります。

退職を申し出る前に見込み額を確認できるのであれば、人事・総務へ問い合わせてみましょう。

「3年目」と「勤続3年以上」は違うので注意

退職金で特に間違えやすいのが、「3年目」と「勤続3年以上」を同じ意味だと思ってしまうことです。

たとえば、2024年4月1日に入社した場合を考えてみましょう。

日付 勤続期間
2025年4月1日 満1年・2年目に入る
2026年4月1日 満2年・3年目に入る
2027年4月1日 満3年

2026年4月1日の時点で「入社3年目」には入っています。

しかし、勤続期間はまだ満2年です。

会社の退職金規程が「勤続3年以上」を条件としているのであれば、単に3年目に入っただけでは条件を満たさない可能性があります。

ここが重要

「3年目」=入社から2年以上経過して3年目の期間に入った状態

「勤続3年以上」=原則として入社から満3年以上経過した状態

数日・数週間の違いで支給対象から外れることも考えられるため、最低勤続年数ぎりぎりで辞める場合は自己判断しないようにしましょう。

2年11か月で辞める場合は特に確認する

たとえば、退職金規程が「勤続3年以上」となっていて、現在の勤続期間が2年11か月だったとします。

この場合、あと1か月在籍すれば条件を満たす可能性があります。

退職金の見込み額が大きければ、退職日を1か月変えることで手取りに大きな差が出るかもしれません。

人事・総務へ、

「○月○日に退職した場合、退職金の支給対象になりますか?」

と具体的な日付を伝えて確認するのがおすすめです。

最終出勤日ではなく「退職日」にも注目する

有給休暇を使ってから退職する場合、最終出勤日と退職日は別の日になることがあります。

たとえば3月10日を最後に出勤し、その後に残っている有給休暇を取得して3月31日付で退職するケースです。

この場合、3月10日以降会社へ出勤していなくても、3月31日までは雇用関係が続いています。

退職金の勤続期間をどのように計算するかは、自社の規程を確認する必要があります。

「最後に出勤した日=勤続期間の終了日」と自己判断しないようにしてください。

有給を使ってから退職する場合は、最終出勤日と退職日の決め方も重要です。退職時に有給を最大限消化するためのスケジュールと伝え方も参考にしてください。

退職金の条件はどこを見れば分かる?

「自分の場合、何年働けば退職金をもらえるの?」

この疑問を解決するには、次の順番で確認すると分かりやすいです。

確認するもの チェックする内容
就業規則 退職金制度そのものがあるか
退職金規程 対象者・最低勤続年数・計算方法・支払時期
雇用契約書・労働条件通知書 退職金に関する記載
社内ポータル 人事制度・福利厚生・規程集
人事・総務 自分の退職予定日で対象になるか・見込み額

まず就業規則を確認する

常時10人以上の労働者を使用する事業場では、会社は就業規則を作成し、労働者に周知する必要があります。

周知方法としては、職場の見やすい場所への掲示・備え付け、書面の交付、パソコンなどでいつでも確認できる状態にする方法があります。

「就業規則を見たことがない」という場合は、社内ポータルや共有フォルダなどを確認してみましょう。

見つからない場合は、人事・総務へ「就業規則を確認したい」と伝えてください。

退職金規程では5項目をチェックする

退職金規程がある場合は、特に次の5項目を確認してください。

  1. 誰が退職金制度の対象になるのか
  2. 最低勤続年数は何年か
  3. 勤続年数をどのように計算するのか
  4. 自己都合退職の場合の計算方法
  5. 退職金がいつ支給されるのか

特に重要なのが、「対象者」と「最低勤続年数」です。

退職金制度が存在していても、自分の雇用形態が対象外になっていたり、最低勤続年数を満たしていなかったりすることがあります。

試用期間は退職金の勤続年数に入る?

「入社後3か月は試用期間だったけど、その3か月も勤続年数に入るの?」

最低勤続年数ぎりぎりで退職を考えている方にとっては重要な問題です。

退職金について、どの期間を算定上の勤続年数に含めるかは、会社の制度・規程を確認する必要があります。

確認するときは、

  • 正式な入社日
  • 試用期間の開始日
  • 本採用日
  • 退職金算定上の勤続開始日

を見てください。

特に「あと1~2か月で最低勤続年数を満たす」というケースでは、人事・総務へ直接確認する方が安全です。

契約社員から正社員になった場合は何年で計算する?

契約社員として働いたあと、同じ会社で正社員になった方は、

「契約社員だった期間も退職金の勤続年数に入るの?」

と疑問に思うでしょう。

これも一律ではありません。

会社の退職金制度によって、契約社員時代から通算する場合もあれば、正社員登用後の期間を基準にする場合もあります。

そのため、

「会社には5年間いるから、退職金も必ず勤続5年で計算される」

とは限りません。

退職金規程の「勤続期間」「算定期間」「対象者」などを確認してください。

パート・アルバイト・契約社員でも退職金はもらえる?

「正社員ではない=絶対に退職金が出ない」という全国一律のルールはありません。

パート・アルバイト・契約社員であっても、会社の退職金制度の対象になっていて支給条件を満たせば、退職金を受け取れる場合があります。

反対に、退職金規程で対象者を正社員などに限定している会社もあります。

確認すべきなのは雇用形態の名称だけではなく、自社の退職金制度で誰が対象になっているかです。

中小企業退職金共済を利用している会社もある

会社独自の退職金制度ではなく、中小企業退職金共済(中退共)など外部の制度を利用している会社もあります。

入社時にもらった書類や給与・福利厚生関係の資料を確認し、分からなければ人事・総務へ聞いてみましょう。

自己都合退職でも退職金はもらえる?

「自分から辞めると退職金はもらえないのでは?」

と心配する方もいますが、自己都合退職だからという理由だけで全国一律に退職金がゼロになるわけではありません。

自己都合退職でも、退職金制度の支給対象になっており、最低勤続年数などの条件を満たしていれば支給されます。

ただし、会社によっては退職理由によって支給率や計算方法を分けています。

たとえば、同じ勤続10年でも、

  • 自己都合退職
  • 会社都合退職
  • 定年退職

で支給額が異なる場合があります。

「勤続○年だから○万円」と勤続年数だけで考えるのではなく、自分の退職理由を当てはめた場合の計算方法を確認しましょう。

退職金はいくら?勤続年数だけでは決まらない

退職金がもらえることが分かったら、次に気になるのが金額でしょう。

しかし、退職金には全国共通の計算式はありません。

代表的な仕組みとしては、次のようなものがあります。

基本給×勤続年数などで計算する方式

会社によっては、退職時の基本給に勤続年数などに応じた支給率を掛けて計算します。

ただし、残業代や各種手当を含めた毎月の総支給額がそのまま計算の基礎になるとは限りません。

ポイント制で計算する方式

勤続年数、役職、職務等級などに応じてポイントを積み上げ、退職時の累計ポイントから退職金を計算する会社もあります。

この場合、「勤続10年だから○万円」と勤続年数だけで計算することはできません。

退職理由によって支給率が変わる方式

自己都合退職と会社都合退職、定年退職などで異なる支給率を設定している場合もあります。

そのため、インターネット上の平均額よりも、自社の退職金規程に書かれている計算式を見ることの方が重要です。

あと数か月で退職金をもらえるなら待った方がいい?

たとえば現在が勤続2年10か月で、会社の退職金が「勤続3年以上」からだったとします。

この場合、

「あと2か月だけ働いてから辞めた方が得なのでは?」

と考えるのは自然なことです。

実際、数か月退職日をずらすことで退職金の支給対象になるのであれば、金銭面では大きな差が出る可能性があります。

ただし、退職金だけを見て退職時期を決めるのはおすすめできません。

①退職金の対象になる正確な日を確認する

最初に確認すべきなのは、

「具体的に何月何日まで在籍すれば退職金の対象になるのか」

です。

「あと2か月くらい」と自己判断せず、人事・総務へ退職予定日を伝えて確認しましょう。

②退職金の見込み額を確認する

あと2か月働けば退職金をもらえるとしても、その金額が分からなければ本当に待つべきか判断できません。

可能であれば、現在退職した場合と、最低勤続年数を満たしてから退職した場合の見込み額を確認してください。

③給与・賞与・有給も含めて比較する

退職時期を数か月延ばす場合は、退職金だけではなく、

  • その期間に受け取る給与
  • 賞与の支給条件・支給時期
  • 残っている有給休暇
  • 社会保険料など

も含めて考えましょう。

④転職先の入社日も考える

すでに転職先が決まっている場合は注意が必要です。

現在の会社の退職金を受け取るために退職日を遅らせた結果、新しい会社の入社日に影響するのであれば、必ずしも得とはいえません。

退職金だけではなく、転職先の給与・待遇・入社予定日まで含めて比較しましょう。

まだ次の仕事が決まっておらず、「退職金をもらってから辞めるべきか、先に退職すべきか」と迷っている方は、転職先が決まっていない状態で辞めるときの準備と判断基準も参考にしてください。

⑤仕事を続ける負担が大きいなら金額だけで決めない

あと数か月働けば退職金を受け取れるとしても、その期間を無理に耐える必要があるとは限りません。

特に、強いストレスやハラスメントなどによって仕事を続けること自体が難しい場合は、退職金だけを理由に退職を先延ばしにすることが適切とは限りません。

退職金・数か月分の給与・転職時期・現在の状況を総合して、自分にとって納得できる退職日を決めることが大切です。

パワハラが原因で「退職金のためとはいえ、あと数か月も働くのは限界」という方は、パワハラで退職願を受理してもらえない場合の対処法も確認してください。

退職金はいつ振り込まれる?

退職金を生活費や転職までの資金として考えている方にとって、「退職してからいつ振り込まれるのか」も重要です。

結論からいうと、退職金の支給時期も全国一律ではありません。

会社の退職金規程などで、

  • 退職後○日以内
  • 退職日の翌月
  • 所定の手続き完了後

など、支給時期が定められている場合があります。

そのため、

「退職したら最後の給料と一緒に振り込まれる」

「退職した翌月には必ず入金される」

と決めつけないようにしましょう。

最終給与と退職金は別に振り込まれることもある

毎月の給与と退職金は、同じ仕組みで支払われるとは限りません。

最終給与が先に振り込まれ、退職金はその後に支給されるケースもあります。

退職後すぐに大きな支出を予定している場合は、退職前に、

  • 退職金の支給予定日
  • 振込先
  • 必要な申請書類
  • 自分で手続きする必要があるか

を人事・総務へ確認しておくと安心です。

退職時には退職金以外にも、会社から受け取っておきたい書類があります。退職時に必要な書類と会社への請求方法もあわせて確認しておきましょう。

退職後のお金が不安な方は、退職金だけでなく、再就職の時期によって利用できる可能性がある制度も確認しておきましょう。退職後すぐ就職した場合の再就職手当の条件も解説しています。

退職金には税金がかかる?

退職金を受け取るときに、

「100万円もらったら、100万円そのまま振り込まれるの?」

「退職金にも所得税がかかるの?」

と気になる方もいるでしょう。

退職手当などは、税務上、原則として「退職所得」として扱われます。

ただし、給与などとは別に計算され、退職所得控除という大きな控除があります。

そのため、退職金の全額にそのまま所得税がかかるわけではありません。

退職所得控除はいくら?

一般的な退職所得控除額は、勤続年数によって次のように計算します。

勤続年数 退職所得控除額
20年以下 40万円 × 勤続年数
※80万円未満の場合は80万円
20年超 800万円+70万円×(勤続年数-20年)

たとえば、一般的な計算では次のようになります。

勤続年数 退職所得控除額
3年 120万円
5年 200万円
10年 400万円
20年 800万円
25年 1,150万円

たとえば勤続10年で退職所得控除額が400万円の場合、退職金が400万円以下であれば、一般的なケースでは退職所得控除の範囲内になります。

ただし、過去に退職金を受け取っている場合や、同じ年に複数の退職金を受け取る場合などは、控除額の計算が異なることがあります。

退職所得は原則「(退職金-退職所得控除)×1/2」で計算する

一般的な退職所得は、原則として次の式で計算します。

退職所得の基本的な計算式

(退職金の収入金額-退職所得控除額)×1/2

たとえば勤続10年で退職金が500万円だったとします。

勤続10年の退職所得控除額は400万円なので、一般的な計算では、

(500万円-400万円)×1/2=50万円

となり、この50万円が退職所得の金額になります。

退職金500万円の全額にそのまま所得税率を掛けるわけではありません。

注意

勤続年数5年以下の従業員が受け取る「短期退職手当等」では、退職金から退職所得控除額を差し引いた金額のうち300万円を超える部分について、1/2課税が適用されないなどの例外があります。

また、役員としての勤続期間がある場合なども計算方法が異なることがあります。実際の税額を確認するときは、国税庁の案内や税務署、税理士などへ確認してください。

「退職所得の受給に関する申告書」は重要

退職金を受け取る際に、会社から「退職所得の受給に関する申告書」の提出を求められることがあります。

これは退職金に対する所得税・復興特別所得税を正しく計算するための重要な書類です。

この申告書を会社へ提出している場合は、会社側で退職所得控除などを反映して所得税等を計算し、源泉徴収します。

そのため、原則として退職金について改めて確定申告をする必要はありません。

申告書を提出しないと20.42%が源泉徴収される

ここは特に注意してください。

国税庁によると、「退職所得の受給に関する申告書」を提出していない場合、退職手当等の支払金額に対して20.42%の所得税・復興特別所得税が源泉徴収されます。

たとえば退職金が100万円なら、単純計算では、

100万円×20.42%=20万4,200円

が源泉徴収される計算です。

ただし、これは最終的な税額が必ず20.42%になるという意味ではありません。

申告書を提出せず20.42%で源泉徴収された場合は、確定申告をすることで、本来の所得税額・復興特別所得税額との精算を行います。

退職時に確認

会社から「退職所得の受給に関する申告書」を渡された場合は、内容を確認したうえで提出しましょう。

分からないまま放置すると、退職金の受取時に20.42%が源泉徴収される場合があります。

退職金が出ない・金額がおかしいと感じたらどうする?

「退職金制度があるはずなのに支給されなかった」

「人事から提示された金額が思っていたよりかなり少ない」

という場合もあるでしょう。

この場合、いきなり「会社が間違っている」と判断するのではなく、まず退職金規程と実際の計算内容を照らし合わせてください。

まず5項目を確認する

特に確認したいのは次の5点です。

  1. 自分が退職金制度の対象者になっているか
  2. 最低勤続年数を満たしているか
  3. 勤続年数がどの期間から計算されているか
  4. 自己都合退職の支給率・計算方法
  5. 退職金の計算式が規程どおりか

たとえば、本人は「会社に5年間いるから勤続5年で計算される」と考えていても、退職金制度上の算定期間が異なっている可能性があります。

契約社員から正社員になった場合や、休職期間などがある場合は特に確認しましょう。

人事・総務へ計算根拠を確認する

金額に疑問がある場合は、感情的に抗議するよりも、まず計算根拠を確認するのがおすすめです。

たとえば、次のように聞くと分かりやすいでしょう。

「今回の退職金が、どの規程・計算方法に基づいて算定されたのか確認したいです」

可能であれば、口頭だけではなく、退職金規程や計算明細など確認できる資料がないか聞いてみてください。

規程どおり支払われない場合は相談窓口を利用する

会社の就業規則や退職金規程などで退職金の支給条件が明確に定められており、自分がその条件を満たしているにもかかわらず支給されない場合は、まず会社へ確認しましょう。

会社へ確認しても解決しない場合は、都道府県労働局などの公的な労働相談窓口や、弁護士などへ相談する方法があります。

特に金額が大きい場合や、会社と支給条件について争いになっている場合は、早めに専門家へ相談することも検討してください。

退職金をめぐって会社との争いになり、「弁護士に相談したらいくらかかるの?」と心配な方は、退職トラブルを弁護士へ相談するときの費用も参考にしてください。

退職日を決める前に確認したい7項目

ここまでの内容を踏まえて、退職金が気になる方は、退職日を正式に決める前に次の7項目を確認しておきましょう。

確認項目 チェックする内容
①退職金制度 そもそも自社に制度があるか
②対象者 自分の雇用形態が対象か
③最低勤続年数 1年・3年・5年以上などの条件
④正確な勤続期間 試用期間や契約社員期間を含むか
⑤退職金の見込み額 自己都合退職の場合はいくらになるか
⑥有給休暇 残日数と最終出勤日・退職日の違い
⑦転職先の入社日 退職日を遅らせても問題ないか

特に、

  • あと1か月で勤続3年
  • あと2か月で勤続5年
  • もうすぐ賞与の支給日
  • 有給休暇が多く残っている

といった場合は、数日・数か月の違いで受け取れる金額が変わることも考えられます。

退職届を出してから気づくのではなく、可能であれば退職日を決める前に確認しておきましょう。

退職金は何年目から?よくある質問

退職金は1年働けばもらえますか?

勤続1年で退職金がもらえるかどうかは会社によって異なります。

会社の退職金規程が「勤続1年以上」を支給条件としていれば対象になる場合があります。

一方、「勤続3年以上」「勤続5年以上」などを条件としている場合、勤続1年では対象になりません。

退職金は3年以上働かないともらえませんか?

いいえ。「勤続3年以上」は全国共通のルールではありません。

ただし、公的統計では、退職一時金について自己都合退職の最低勤続年数を「3年以上4年未満」としている企業が多かったため、「退職金は3年から」といわれることがあります。

実際の条件は自分の会社の退職金規程を確認してください。

勤続2年11か月で辞めたら退職金はもらえませんか?

会社の支給条件によります。

たとえば「勤続3年以上」が条件であれば、勤続2年11か月では条件を満たさない可能性があります。

あと1か月で支給条件を満たす場合は、退職日を正式に決める前に、具体的な日付を人事・総務へ伝えて確認しましょう。

「3年目」なら勤続3年以上になりますか?

基本的には同じ意味ではありません。

入社から満2年が経過すると「3年目」に入りますが、この時点ではまだ勤続期間は満2年です。

退職金規程に「勤続3年以上」と書かれている場合は、3年目に入っただけで条件を満たしたと自己判断しないようにしましょう。

3年働いたら退職金はいくらもらえますか?

勤続3年という情報だけでは金額は分かりません。

退職金は会社ごとに、基本給、勤続年数、役職・等級、ポイント、退職理由などを使って計算します。

会社の退職金規程の計算式を確認するか、人事・総務へ見込み額を確認してください。

5年働いたら退職金はいくらですか?

勤続5年の場合も全国共通の金額はありません。

「5年なら○万円」というネット上の数字だけで判断せず、自分の会社の退職金規程を確認しましょう。

自己都合退職でも退職金はもらえますか?

自己都合退職だからという理由だけで、全国一律に退職金がゼロになるわけではありません。

自社の制度で自己都合退職も支給対象となっており、最低勤続年数などの条件を満たせば受け取れます。

ただし、会社都合退職や定年退職と比べて支給率が異なる場合があります。

契約社員やパートでも退職金はもらえますか?

契約社員・パートだから必ず対象外というわけではありません。

自社の退職金制度で対象者となっているかを確認してください。

また、契約社員から正社員へ登用された場合は、契約社員だった期間を退職金の勤続年数に通算するかどうかも確認しましょう。

試用期間は退職金の勤続年数に入りますか?

退職金の算定上、試用期間をどのように扱うかは、自社の退職金規程などを確認する必要があります。

最低勤続年数ぎりぎりで退職を考えている場合は、「自分の退職金算定上の勤続開始日はいつなのか」を人事・総務へ確認すると確実です。

退職金はいつ振り込まれますか?

支給時期は会社の退職金規程などによって異なります。

最終給与と同じ日に振り込まれるとは限りません。

退職後の生活費として退職金を予定している場合は、退職前に支給予定日を確認しておきましょう。

まとめ|退職金は「何年目から」より自分の会社の規程確認が重要

退職金は何年目からもらえるのか気になる方は多いですが、「○年以上働けば必ず退職金がもらえる」という全国一律のルールはありません。

会社によって、

  • 退職金制度そのものがあるか
  • 誰が支給対象になるか
  • 何年以上勤務すれば対象になるか
  • 勤続期間をどのように計算するか
  • 自己都合退職をどう扱うか
  • 退職金をどう計算するか
  • いつ支給するか

が異なります。

一方、公的統計では、退職一時金について自己都合退職の最低勤続年数を「3年以上4年未満」としている企業が多く、「3年」は一つの目安としてよく使われています。

ただし、「3年目」と「勤続3年以上」は同じではありません。

退職を考えている方は、次の順番で確認してみてください。

  1. 自分の会社に退職金制度があるか確認する
  2. 就業規則・退職金規程を確認する
  3. 自分が制度の対象者か確認する
  4. 最低勤続年数を確認する
  5. 正確な勤続期間を確認する
  6. 退職予定日で支給対象になるか確認する
  7. 可能であれば退職金の見込み額も確認する

特に、

「あと1か月で勤続3年」

「あと数か月働けば退職金の対象になる」

という方は、退職日を決める前に一度確認しておくことをおすすめします。

数日・数週間の違いで支給条件を満たすかどうかが変わるのであれば、退職時期を調整する価値があるかもしれません。

ただし、退職金だけを理由に無理をして働き続ける必要があるとは限りません。

退職金の見込み額、有給休暇、給与、賞与、転職先の入社日、現在の仕事を続ける負担などを総合して、自分にとって納得できる退職時期を考えましょう。

参考資料

  • 厚生労働省「就労条件総合調査」
  • 厚生労働省「モデル就業規則」
  • 厚生労働省「労働基準法」
  • 国税庁「退職金と税」
  • 国税庁「退職所得の計算方法」
  • 国税庁「退職所得の受給に関する申告書」

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