退職トラブルの弁護士費用はいくら?相談料・着手金・成功報酬の目安を解説
「退職したいのに会社が辞めさせてくれない」
「辞めるなら損害賠償を請求すると言われた」
「弁護士に相談したいけれど、費用が高そうで不安……」
退職をめぐって会社とトラブルになると、弁護士に相談した方がいいのか迷いますよね。
しかも気になるのが、「結局、弁護士に頼むといくらかかるのか?」という問題です。
結論からいうと、退職トラブルの弁護士費用に全国共通の一律料金はありません。
法律事務所の公開料金を見ると、初回相談を無料としているところがある一方、正式に依頼すると着手金が10万円台から設定されているケースや、未払い残業代などでは着手金0円+回収額の一定割合を成功報酬とするケースなどがあります。
また、会社との交渉だけで解決するのか、労働審判や訴訟まで進むのかによっても費用は大きく変わります。
この記事のポイント
- 弁護士費用には「相談料・着手金・成功報酬・実費」などがある
- 初回相談無料の法律事務所もある
- 会社との交渉を正式に依頼すると10万円台以上かかる料金設定も珍しくない
- 未払い賃金請求では「着手金0円+成功報酬」という料金体系もある
- 少額請求では弁護士費用の方が高くなる「費用倒れ」に注意する
- 損害賠償請求や裁判所からの書類が届いている場合は、費用だけで判断せず早めの相談を検討する
この記事では、退職トラブルで弁護士に相談・依頼するときの費用について、公開されている料金例を参考にしながら分かりやすく解説します。
「自分の場合は弁護士まで必要なのか?」という判断基準についても説明するので、会社との退職トラブルで悩んでいる方は参考にしてください。
- 退職トラブルの弁護士費用はいくら?まず目安を確認
- 退職トラブルで発生する4つの弁護士費用
- トラブル別|退職問題の弁護士費用はどう変わる?
- 弁護士費用はいくら残る?具体例でシミュレーション
- 未払い給与・残業代・退職金は「費用倒れ」に注意
- 退職トラブルで弁護士に依頼した方がいいケース
- 逆に弁護士へ依頼しなくてもよいケース
- 退職トラブルの相談先は弁護士だけではない
- 退職代行と弁護士は何が違う?
- 弁護士へ相談する前に準備しておきたいもの
- 弁護士費用を抑えるために確認したい6つのポイント
- 退職トラブルの弁護士費用についてよくある質問
- 結局どこへ相談すればいい?状況別に判断しよう
- まとめ|退職トラブルの弁護士費用は総額で確認しよう
退職トラブルの弁護士費用はいくら?まず目安を確認
最初に、退職トラブルで発生する可能性がある弁護士費用を整理しておきましょう。
法律事務所によって料金体系は大きく異なるため、以下はあくまで公開されている料金設定から見た目安です。
| 費用・依頼内容 | 料金設定の例 |
|---|---|
| 法律相談 | 初回無料〜30分5,500円前後など |
| 退職について会社と交渉 | 10万円台〜30万円台など |
| 未払い給与・残業代請求 | 着手金0円〜+回収額の20〜30%前後など |
| 労働審判 | 交渉より着手金・成功報酬が高くなる場合あり |
| 訴訟 | さらに追加着手金・日当・実費などが発生する場合あり |
重要なのは、「退職トラブルなら○万円」と一律に決まっているわけではないことです。
たとえば、退職できるよう会社と交渉してもらうだけの場合と、未払い残業代100万円を請求する場合、会社から高額な損害賠償を請求されて裁判になった場合では、弁護士が行う仕事の内容がまったく違います。
そのため、弁護士へ相談するときは、単に「着手金はいくらですか?」だけでなく、
- 相談料はいくらか
- 着手金はいくらか
- 成功報酬はいくらか
- 実費や日当は別料金か
- 労働審判・訴訟へ進んだ場合はいくら追加されるか
- 途中で依頼を終了した場合はどうなるか
まで確認しておくことが大切です。
退職トラブルで発生する4つの弁護士費用
弁護士費用は、「弁護士に払うお金が全部まとめて○万円」という単純な仕組みとは限りません。
主に次の費用が発生する可能性があります。
- 相談料
- 着手金
- 成功報酬(報酬金)
- 実費・日当
それぞれ詳しく見ていきましょう。
①相談料
相談料とは、弁護士に現在の状況を説明し、法律上どのような対応ができるのか相談するときに支払う費用です。
労働問題を扱う法律事務所の中には、
- 初回相談無料
- 初回60分無料
- 30分ごとに5,500円程度
- 特定の労働問題だけ無料
といった料金設定をしているところがあります。
そのため、弁護士へ相談しただけで必ず何万円もかかるわけではありません。
「弁護士に頼むかまだ決めていない」という段階でも、初回無料相談などを利用して、自分の場合は正式依頼が必要なのか確認する方法があります。
②着手金
着手金とは、弁護士に正式に依頼するときに支払う費用です。
たとえば、
- 退職について会社と交渉してもらう
- 未払い給与や残業代を請求する
- 会社からの損害賠償請求に対応してもらう
- 労働審判を申し立てる
- 裁判へ対応してもらう
といった場合に着手金が設定されることがあります。
公開されている料金表を見ると、労働問題の交渉で10万円台〜30万円台程度の着手金を設定している法律事務所があります。
一方、未払い残業代請求などでは、一定の条件を満たす場合に着手金0円としている事務所もあります。
「着手金0円=弁護士費用が無料」ではありません。
成功報酬や事務手数料、実費、日当などが発生する場合があります。依頼する前に最終的な費用の計算方法まで確認しましょう。
③成功報酬(報酬金)
成功報酬は、弁護士へ依頼した結果、一定の成果が得られた場合に支払う費用です。
未払い給与や残業代などの金銭請求では、
「会社から回収できた金額の○%」
という料金体系がよく見られます。
公開料金例では、交渉による未払い賃金の回収について回収額の20%台を成功報酬として設定している法律事務所があります。
ただし、ここで注意したいのが最低報酬金です。
たとえば、
- 成功報酬22%
- ただし最低報酬22万円
という契約だった場合、50万円を回収できても単純に「50万円×22%=11万円」とは限りません。
最低報酬22万円という条件が適用されれば、22万円を支払うことになります。
そのため、成功報酬を見るときは「○%」だけではなく、最低報酬が設定されていないかまで確認してください。
④実費・日当
相談料・着手金・成功報酬以外に、実費や日当が必要になる場合があります。
実費には、たとえば次のようなものがあります。
- 郵便料金
- 内容証明郵便の費用
- 収入印紙代
- 郵券代
- 交通費
- 資料の取得費用
また、労働審判や裁判へ弁護士が出廷する場合などに、別途「日当」が設定されている法律事務所もあります。
見積もりを確認するときは、
「この金額以外に、実費や日当など追加で発生する可能性がある費用はありますか?」
と聞いておくと分かりやすいでしょう。
トラブル別|退職問題の弁護士費用はどう変わる?
退職トラブルといっても、会社との争いの内容によって弁護士が行う仕事は変わります。
ここからは、代表的なケースごとに費用の考え方を見ていきましょう。
会社が退職を認めてくれないケース
退職を申し出たにもかかわらず、会社から、
- 「後任が見つかるまで辞めさせない」
- 「人手不足だから退職は認めない」
- 「退職届は受け取らない」
- 「辞めるなら損害賠償を請求する」
などと言われるケースがあります。
会社との法的な争いがなく、自分で適切に退職意思を伝えれば解決できるのであれば、必ずしも弁護士へ正式依頼する必要はありません。
しかし、会社が退職を強く拒否している場合や、退職日について交渉が必要な場合は、弁護士への相談を検討できます。
実際の法律事務所の公開料金には、会社が退職を認めない場合の「退職請求」について、着手金11万円〜、報酬金11万円〜としている例もあります。
ただし、これはすべての法律事務所に共通する料金ではありません。
会社との交渉内容や雇用契約、トラブルの程度などによって費用は変わるため、必ず依頼先へ見積もりを確認してください。
未払い給与・残業代を請求するケース
退職時に、
- 最後の給与が支払われていない
- サービス残業が続いていた
- 休日出勤分の賃金が支払われていない
- 固定残業代を超えた残業代が支払われていない
といった問題がある場合は、退職手続きだけでなく会社への金銭請求も検討することになります。
未払い賃金・残業代請求では、法律事務所によって料金体系の差が特に大きく、
- 着手金0円
- 交渉の着手金が10万円台〜
- 回収額の20〜30%前後を成功報酬とする
- 「固定報酬+回収額の○%」とする
- 最低成功報酬を設定する
など、さまざまです。
そのため、「着手金が無料だから一番安い」とは限りません。
最終的にいくら残るのかまで計算して比較することが重要です。
退職金を支払ってもらえないケース
退職金が支払われない場合は、まず就業規則や退職金規程などを確認しましょう。
退職金制度は、すべての会社に法律上必ず設けなければならないものではありません。
しかし、会社の就業規則や退職金規程、労働契約などによって退職金を支払うことになっており、自分が支給条件を満たしているにもかかわらず会社が支払わない場合は、請求できる可能性があります。
退職金の請求についても、
- 請求できる金額
- 会社の規程
- 証拠
- 会社が支払いを拒否している理由
- 交渉だけで解決できるか
などによって、弁護士へ依頼するメリットが変わります。
請求額が少ない場合は、弁護士費用を差し引くと手元にほとんど残らない可能性もあるため、正式依頼の前に費用を確認しましょう。
会社から損害賠償を請求されたケース
退職を申し出たところ、会社から、
「急に辞めるなら会社に損害が出る。○万円払え」
と言われることがあります。
このような場合でも、会社から言われた金額をその場ですぐ支払う必要があると決めつけてはいけません。
まず確認したいのは、
- どのような損害が発生したと主張しているのか
- なぜ自分に責任があると主張しているのか
- 請求金額をどのように計算したのか
- 口頭で言われただけなのか
- 書面で正式に請求されているのか
という点です。
単に会社を退職したという事実だけで、会社が主張する損害賠償額を当然に全額支払わなければならないとは限りません。
退職時に会社から損害賠償を請求されるケースや、実際にどのようなリスクがあるのかは、以下の記事で詳しく解説しています。
会社や代理人弁護士から正式な請求書・内容証明郵便が届いた場合や、裁判所から訴状・支払督促などが届いた場合は、放置しないでください。
対応期限が設定されている書類もあるため、分からない場合は早めに弁護士へ相談することを検討しましょう。
パワハラ・セクハラで慰謝料を請求したいケース
上司からの暴言、人格否定、過度な叱責、セクハラなどが原因で退職を考えており、会社や加害者に慰謝料などを請求したいケースでは、単なる退職手続きよりも問題が複雑になります。
特に重要になるのが証拠です。
たとえば、
- 録音
- メール
- LINEや社内チャット
- 日時・場所・発言内容を記録したメモ
- 会社の相談窓口へ相談した記録
- 会社からの回答
などが判断材料になることがあります。
ハラスメント案件の弁護士費用は、交渉で済むのか、慰謝料などの金銭請求をするのか、訴訟まで進むのかによって大きく異なります。
依頼前に「どこまで対応してもらうと総額いくらになる可能性があるのか」を確認しましょう。
弁護士費用はいくら残る?具体例でシミュレーション
弁護士費用は「成功報酬○%」だけを見ても、実際の負担額が分かりにくいものです。
ここでは仕組みを理解するため、簡単な例で計算してみましょう。
※以下は料金の仕組みを説明するための仮定であり、特定の法律事務所の料金ではありません。
例1:未払い残業代100万円を回収した場合
仮に、次の料金体系だったとします。
- 相談料:0円
- 着手金:0円
- 成功報酬:回収額の22%
- 最低報酬:なし
100万円を全額回収できた場合、
100万円 × 22% = 22万円
となります。
単純計算では、成功報酬を差し引いた約78万円が残ります。
ただし、実際には事務手数料や実費などが別途必要になる契約もあります。
例2:未払い賃金50万円を回収したが最低報酬22万円だった場合
次のような契約だったとします。
- 着手金:0円
- 成功報酬:回収額の22%
- 最低報酬:22万円
50万円の22%は11万円です。
しかし、最低報酬が22万円なら、契約内容によっては22万円が報酬となります。
50万円-22万円=28万円です。
さらに実費などが発生すれば、実際に手元へ残る金額は少なくなります。
このように、成功報酬の割合だけでなく「最低報酬」の有無が非常に重要です。
例3:10万円を請求するために弁護士費用が15万円かかる場合
会社へ請求できる金額が10万円しかないのに、弁護士への依頼費用が15万円かかるとします。
仮に10万円を全額回収できても、金銭面だけを考えると5万円のマイナスです。
これが、いわゆる「費用倒れ」です。
未払い給与・残業代・退職金は「費用倒れ」に注意
弁護士へ正式依頼する前に、必ず考えたいのが費用倒れです。
費用倒れとは、簡単にいうと、
「取り戻せるお金より、弁護士費用の負担の方が大きくなってしまう状態」
です。
たとえば、20万円の未払い賃金を請求するために、着手金・報酬金・実費を合わせて25万円かかるのであれば、金銭面だけを見ると弁護士へ依頼するメリットは小さくなります。
そのため、金銭請求を弁護士へ依頼するときは、
- 請求できそうな金額
- 実際に回収できる可能性
- 着手金
- 成功報酬
- 最低報酬
- 実費
- 労働審判や訴訟へ進んだ場合の追加料金
を確認してください。
相談時には、こう聞くと分かりやすいです。
「仮に50万円を回収できた場合、着手金・成功報酬・実費をすべて含めて、最終的な弁護士費用はいくらになりますか?」
具体的な金額を伝えてシミュレーションしてもらえば、「思っていたより費用が高かった」という失敗を防ぎやすくなります。
退職トラブルで弁護士に依頼した方がいいケース
退職に関する悩みがあるからといって、すべてのケースで弁護士へ正式依頼する必要があるわけではありません。
一方で、会社との話し合いだけでは解決しにくい場合や、すでに法的なトラブルへ発展している場合は、弁護士への相談を検討した方がよいケースがあります。
代表的なのは、次のようなケースです。
- 会社から損害賠償を請求されている
- 内容証明郵便や訴状などが届いている
- 未払い給与・残業代・退職金を請求したい
- 会社との交渉が必要になっている
- パワハラ・セクハラについて慰謝料請求を検討している
- 退職条件について会社と大きく対立している
会社から損害賠償を請求されている
会社から「辞めるなら損害賠償を請求する」と言われた場合でも、すぐに会社の主張を認める必要はありません。
ただし、
- 具体的な金額を請求されている
- 会社の代理人弁護士から書面が届いた
- 内容証明郵便が届いた
- 裁判所から訴状や支払督促などが届いた
といった場合は、話が単なる引き止めではなく、実際の法的トラブルへ進んでいる可能性があります。
特に裁判所から届く書類には、回答期限などが設定されている場合があります。
「よく分からないから放置する」のではなく、早めに弁護士へ相談することを検討しましょう。
未払い給与・残業代・退職金を請求したい
会社に対して金銭請求をしたい場合も、弁護士へ相談するメリットがあります。
たとえば、
- 残業代を何年も支払ってもらっていない
- 最後の給与を支払ってもらえない
- 退職金規程では支給対象なのに退職金が支払われない
といった場合です。
弁護士へ依頼すれば、証拠や請求額を整理したうえで、本人の代理人として会社との交渉を進めてもらえる場合があります。
ただし、前述したとおり、請求できる金額が少ない場合は費用倒れになる可能性があります。
正式依頼の前に、
「回収できた場合、弁護士費用を差し引いて最終的にいくら手元に残るのか」
まで確認しておくことが大切です。
会社との交渉が必要になっている
単に退職意思を伝えるだけではなく、会社と具体的な条件について話し合う必要がある場合もあります。
たとえば、
- 退職日について会社と意見が合わない
- 未払い賃金について金額を争っている
- 会社から損害賠償を請求されている
- 退職金について支給条件を争っている
などです。
当事者同士で話し合っていると、同じやり取りを繰り返したり、感情的になったりして解決が難しくなることもあります。
法律上の争点がある場合は、弁護士へ相談し、自分の主張にどの程度の根拠があるのか確認してみるとよいでしょう。
パワハラ・セクハラの慰謝料請求を考えている
パワハラやセクハラが原因で退職する場合でも、単に会社を辞めるだけであれば、必ずしも弁護士への依頼が必要とは限りません。
しかし、会社や加害者に対して慰謝料などの損害賠償請求を検討するのであれば、法律問題になります。
その場合は、
- 録音
- メール
- LINEや社内チャット
- 被害内容を記録したメモ
- 会社へ相談した記録
- 診断書などの資料
などを整理し、弁護士へ相談する方法があります。
どの程度の請求が可能なのかは、具体的な被害内容や証拠によって変わるため、自分だけで慰謝料額を判断しないことが重要です。
パワハラを理由に退職する場合の伝え方や、退職理由をどのように整理すればよいかは、以下の記事で詳しく解説しています。
逆に弁護士へ依頼しなくてもよいケース
退職したいからといって、すぐに弁護士へ数十万円を支払う必要があるとは限りません。
次のようなケースでは、弁護士へ正式依頼する必要性は比較的低いと考えられます。
- 会社が退職を受け入れている
- 退職意思を伝えれば通常どおり手続きが進む
- 未払い賃金や損害賠償などの争いがない
- 退職届や離職票などの手続きについて確認したいだけ
- 行政の無料相談で解決できそう
会社が普通に退職を受け入れている
会社へ退職を申し出れば通常どおり手続きが進み、退職日や有給消化についても特に争いがないのであれば、弁護士へ正式依頼する必要性は高くありません。
会社とのトラブルはなく、残っている有給をできるだけ消化して辞めたい方は、退職日から逆算する方法を以下の記事で詳しく紹介しています。
退職で有給40日を消化するならいつ言う?退職日から逆算して解説
まずは会社の就業規則を確認し、必要な手続きを進めればよいでしょう。
退職届や離職票などの手続きについて知りたいだけ
「退職届はどう書けばいい?」
「離職票はいつ届く?」
「健康保険の手続きはどうする?」
といった事務手続きについて確認したいだけなら、必ずしも弁護士へ相談する必要はありません。
退職後に必要となる離職票などの書類について知りたい方は、もらうべき書類と請求方法を以下の記事でまとめています。
退職時の書類は言わないともらえない?必要書類5つと請求方法を解説
内容に応じて、
- 会社の人事・労務担当
- ハローワーク
- 年金事務所
- 市区町村の窓口
などへ確認する方法があります。
退職トラブルの相談先は弁護士だけではない
「会社ともめているけれど、いきなり弁護士へ依頼するのは不安」という方もいるでしょう。
退職トラブルの内容によっては、無料または比較的少ない負担で利用できる相談先があります。
| 相談先 | 向いている相談 | 費用 |
|---|---|---|
| 総合労働相談コーナー | 退職、解雇、雇止め、賃金、パワハラなど幅広い労働問題 | 無料 |
| 労働基準監督署 | 賃金未払いなど労働基準関係法令に関する問題 | 無料 |
| 法テラス | 法律相談、弁護士費用が心配な場合 | 条件により無料相談・費用立替制度あり |
| 弁護士 | 損害賠償、未払い賃金、会社との代理交渉、訴訟など | 事務所・依頼内容による |
総合労働相談コーナー
総合労働相談コーナーは、厚生労働省が全国の労働局や労働基準監督署などに設置している相談窓口です。
解雇、雇止め、配置転換、賃金、いじめ・嫌がらせ、パワハラなど、幅広い労働問題について相談できます。
相談は無料です。
「自分の問題をどこへ相談すればいいか分からない」という段階なら、最初の相談先として利用しやすいでしょう。
労働基準監督署
労働基準監督署は、労働基準法などの法令違反に関する相談先の一つです。
たとえば、
- 給与が支払われていない
- 残業代が支払われていない
- 労働時間について法令違反の疑いがある
といったケースでは、相談できる場合があります。
ただし、労働基準監督署が本人の代理人となり、退職日や損害賠償額について会社と交渉してくれるわけではありません。
会社との民事上の争いについて代理交渉を依頼したい場合は、弁護士への相談を検討しましょう。
法テラス
弁護士へ相談したいものの、「費用を払えるか心配」という方は法テラスを確認してみましょう。
法テラスの民事法律扶助制度では、一定の収入・資産などの要件を満たす場合、無料法律相談や弁護士・司法書士費用等の立替制度を利用できる可能性があります。
利用には条件があるため、誰でも無料になるわけではありません。
自分が対象になるか、法テラスの公式情報で確認してください。
退職代行と弁護士は何が違う?
「会社へ自分で退職を伝えたくない」という場合、弁護士以外に退職代行サービスを検討する方もいるでしょう。
ただし、退職代行は運営主体によって対応できる範囲が異なります。
大きく分けると、
- 民間企業が運営する退職代行
- 労働組合が運営・関与する退職代行
- 弁護士が運営する退職代行
があります。
| 運営主体 | 退職意思の伝達 | 会社との交渉 | 未払い賃金などの法律上の請求・代理 | 訴訟対応 |
|---|---|---|---|---|
| 民間企業 | ○ | 原則として不可 | × | × |
| 労働組合 | ○ | 団体交渉として対応できる場合あり | 弁護士と同じ代理権があるわけではない | × |
| 弁護士 | ○ | ○ | ○ | ○ |
つまり、単に「会社へ退職意思を伝えてほしい」というケースと、すでに損害賠償や未払い賃金などの法律問題が発生しているケースでは、適したサービスが違います。
選び方の目安
- 会社へ退職意思を伝えてほしいだけ → 退職代行も選択肢
- 退職条件について交渉したい → 労働組合型や弁護士型を検討
- 損害賠償・未払い賃金・慰謝料請求などの法的トラブルがある → 弁護士への相談を優先
法的なトラブルはなく、「自分で会社へ退職を伝えるのがつらい」という方は、退職代行サービスを比較してから選ぶ方法もあります。
退職代行おすすめ比較ランキング3選|失敗しない選び方を徹底解説
料金の安さだけで選ぶのではなく、自分が必要としている対応を本当にしてもらえるかを確認することが大切です。
民間・労働組合・弁護士では対応できる範囲が異なります。どの退職代行を選ぶべきか迷っている方は、以下の記事も参考にしてください。
退職代行は民間・労働組合・弁護士どれがいい?違いと選び方を比較
弁護士へ相談する前に準備しておきたいもの
弁護士への相談時間を有効に使うためには、会社とのトラブルに関係する資料を事前に整理しておきましょう。
代表的なものは次のとおりです。
- 雇用契約書・労働条件通知書
- 就業規則
- 退職金規程
- 給与明細
- タイムカードや勤怠記録
- 会社とのメール・LINE・社内チャット
- 退職届・退職願のコピー
- 録音
- 日時や発言内容を記録したメモ
- 会社から届いた請求書
- 内容証明郵便
- 裁判所から届いた書類
すべての資料がそろっていなくても相談はできます。
ただし、資料が多いほど弁護士が事実関係を確認しやすくなります。
会社とのメールやLINEは削除しない
会社とのやり取りは重要な資料になる可能性があります。
特に、
- 退職を申し出た日時
- 会社が退職を拒否した内容
- 損害賠償を示唆された内容
- パワハラに関する発言
などが記録されている場合は、削除しないようにしましょう。
スクリーンショットだけでなく、可能であれば元のデータも保存しておくと安心です。
弁護士費用を抑えるために確認したい6つのポイント
弁護士へ依頼する場合でも、事前に料金体系を確認することで「思っていたより高かった」という失敗を防ぎやすくなります。
次の6つを確認しておきましょう。
- 初回相談無料か
- 着手金はいくらか
- 成功報酬はいくらか
- 最低報酬があるか
- 実費・日当は別料金か
- 労働審判・訴訟へ進んだ場合の追加費用はいくらか
①初回相談無料か確認する
労働問題について初回無料相談を実施している法律事務所もあります。
まだ正式依頼を決めていない段階なら、まず無料相談を利用し、
「自分の場合は弁護士へ正式依頼する必要があるのか」
を確認する方法があります。
②着手金だけで判断しない
「着手金0円」と書かれていると安く感じますが、それだけで総額が安いとは限りません。
成功報酬や最低報酬、事務手数料、実費などを含めて比較しましょう。
③成功報酬の計算方法を確認する
成功報酬が「22%」などと書かれていても、何に対する22%なのか確認が必要です。
たとえば、
- 実際に回収した金額
- 相手の請求から減額できた金額
- その他の経済的利益
など、依頼内容によって計算方法が異なる場合があります。
④最低報酬があるか確認する
少額の請求では、最低報酬の有無が特に重要です。
たとえば成功報酬が22%でも、最低報酬として22万円が設定されていれば、回収額が少ない場合の負担割合は大きくなります。
⑤実費・日当を確認する
見積もりに含まれていない費用がないか確認しましょう。
相談するときは、
「この見積額以外に追加で発生する可能性のある費用はありますか?」
と質問しておくと分かりやすいです。
⑥労働審判・訴訟へ進んだ場合の費用も確認する
最初は会社との交渉だけを依頼していても、解決できなければ労働審判や訴訟へ進む可能性があります。
その場合、追加の着手金や報酬金が必要になる料金体系もあります。
依頼前に、
- 交渉だけで終わった場合
- 労働審判へ進んだ場合
- 訴訟へ進んだ場合
それぞれの費用を確認しておきましょう。
退職トラブルの弁護士費用についてよくある質問
弁護士への相談だけならいくらかかりますか?
法律事務所によって異なります。
初回相談を無料としている事務所もあれば、30分5,500円程度など時間単位で相談料を設定している事務所もあります。
相談予約をする前に、料金表を確認してください。
弁護士へ相談したら必ず契約しないといけませんか?
いいえ。
法律相談を受けたからといって、その場で正式依頼しなければならないわけではありません。
費用や対応方針を確認し、納得したうえで依頼するか判断しましょう。
弁護士費用を会社へ請求できますか?
弁護士費用を相手方へどこまで請求できるかは、請求内容や法的手続きによって異なります。
「弁護士に払った費用はすべて会社へ請求できる」と一律に考えるのは避けましょう。
自分のケースで請求できる可能性があるかは、弁護士へ確認してください。
退職代行より弁護士の方が高いですか?
一般的には、弁護士は法律相談、代理交渉、金銭請求、訴訟など対応できる範囲が広いため、退職意思の伝達を中心とする退職代行サービスより費用が高くなるケースがあります。
ただし、料金はサービスごとに異なります。
単純な金額だけではなく、必要な対応範囲で選びましょう。
会社から「訴える」と言われたら、すぐ弁護士へ相談した方がいいですか?
口頭で「訴える」と言われただけなのか、正式な請求書や裁判所からの書類が届いているのかによって緊急度は変わります。
少なくとも、
- 内容証明郵便が届いた
- 会社の弁護士から正式な請求が届いた
- 裁判所から書類が届いた
といった場合は、放置せず早めに専門家へ相談することを検討しましょう。
無料相談だけ利用しても大丈夫ですか?
無料相談を実施している法律事務所であれば、まず相談だけ利用し、その後に正式依頼するか判断する方法があります。
「自分で対応できるのか」「弁護士へ依頼するほどの問題なのか」を確認する目的でも利用できます。
弁護士に依頼すれば必ず希望日に退職できますか?
一律に保証できるものではありません。
期間の定めのない雇用契約では、民法627条1項により、原則として解約の申入れから2週間を経過すると雇用契約が終了するとされています。
一方、有期労働契約では、期間の定めのない契約と同じように「いつでも2週間で辞められる」とは限りません。
契約社員など有期労働契約で「契約途中でも辞められるの?」と迷っている方は、1年以上働いた場合の条件も含めて以下の記事で解説しています。
契約社員は途中退職できる?1年以上働いた場合の条件と注意点を徹底解説
契約期間や具体的な事情によって扱いが異なるため、トラブルになっている場合は自分の雇用契約を確認したうえで相談しましょう。
結局どこへ相談すればいい?状況別に判断しよう
最後に、「自分の場合はどこへ相談すればいいのか」を整理します。
| 現在の状況 | 相談先の目安 |
|---|---|
| 会社へ退職意思を伝えにくいが、法的トラブルはない | 自分で退職手続き・退職代行などを検討 |
| 会社に退職を強く拒否されている | 総合労働相談コーナー・弁護士など |
| 未払い給与・残業代を請求したい | 労働基準監督署・弁護士など |
| 会社から損害賠償を請求されている | 弁護士 |
| 裁判所から書類が届いた | 早めに弁護士へ相談 |
| パワハラ等の慰謝料請求をしたい | 弁護士 |
| 費用が心配 | 法テラス・初回無料相談などを確認 |
弁護士へ相談すべきか迷ったときは、「単なる退職手続きなのか、それとも会社との法的な争いになっているのか」を一つの基準にすると分かりやすいでしょう。
まとめ|退職トラブルの弁護士費用は総額で確認しよう
退職トラブルで弁護士へ相談・依頼した場合の費用は、法律事務所やトラブルの内容によって大きく異なります。
法律相談だけなら初回無料で利用できる事務所もありますが、会社との交渉を正式に依頼する場合は、10万円台以上の着手金が設定されているケースもあります。
また、未払い給与や残業代の請求では、着手金0円でも成功報酬や最低報酬が設定されている場合があります。
そのため、弁護士を選ぶときは、
- 相談料
- 着手金
- 成功報酬
- 最低報酬
- 実費・日当
- 労働審判・訴訟へ進んだ場合の追加費用
まで確認しましょう。
特に、
- 会社から損害賠償を請求されている
- 内容証明郵便が届いた
- 裁判所から書類が届いた
- 未払い賃金や退職金を請求したい
- ハラスメントについて慰謝料請求を検討している
といったケースでは、費用の安さだけで判断せず、早めに弁護士へ相談することを検討してください。
一方、会社との法的な争いはなく、単に「自分で退職を伝えるのがつらい」という場合は、弁護士へ正式依頼する以外にも退職代行などの選択肢があります。
自分が必要としているのが「退職意思の伝達」なのか、「会社との交渉・法的対応」なのかを整理したうえで、適切な相談先を選びましょう。

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