「退職届って、全部手書きじゃないとダメなの?」
「パソコンで作って印刷したものでも大丈夫?」
「名前だけ手書きにすればいい?」
退職届を作ろうとすると、このような疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。
結論からいうと、退職届は必ずしも全文を手書きにする必要はありません。
東京労働局の資料でも、本人自筆が望ましいとしつつ、パソコンで作成したものなどでも、本人の退職意思が正確に伝わるのであれば認められ得ると説明されています。
そのため、会社から特別な指定がなければ、本文をパソコンで作成して印刷する方法も選択肢になります。
ただし、ここで注意したいのが、
- 法律上、退職する意思を会社へ伝えること
- 会社内部の退職手続きとして指定された書類を提出すること
は分けて考える必要があるという点です。
会社指定の退職届や社内申請のルールがある場合は、手続きをスムーズに進めるためにも、まず会社のルールを確認しましょう。
この記事では、退職届をパソコンで作成してもよいのか、氏名・日付・印鑑・封筒はどうすればよいのか、会社から「手書きで出して」と言われた場合の対応まで分かりやすく解説します。
結論|退職届は全部手書きじゃなくてもOK
退職届について、法律で一律に「全文を手書きにしなければならない」と定められているわけではありません。
そのため、会社指定の書式やルールがなければ、Wordなどで本文を作成し、印刷して提出する方法も考えられます。
まずは、迷いやすいポイントを簡単に整理しておきましょう。
| 項目 | パソコン入力 | ポイント |
|---|---|---|
| 本文 | 〇 | 全文手書きが法律上必須というわけではない |
| 氏名 | 〇 | 迷う場合は氏名だけ自筆にすると分かりやすい |
| 日付 | 〇 | 提出日と退職日を間違えない |
| 印鑑 | ― | 一律に必須ではないため会社ルールを確認 |
| 封筒 | 〇 | 必ず手書きという決まりはない |
| 会社指定の用紙 | 会社による | 指定がある場合はその方法に合わせるのがスムーズ |
迷った場合は、「本文はパソコンで作成し、氏名だけ手書きで署名する」方法もあります。
書き損じを減らしながら、本人が作成したことも分かりやすくできる方法です。
退職届はパソコンで作成しても大丈夫?
会社指定の書式がなければ、WordやGoogleドキュメントなどを使って退職届を作成することもできます。
パソコンで作成すれば、書き間違いを修正しやすく、文字やレイアウトも整えやすいのがメリットです。
本文はパソコン入力でもよい
退職届の本文は、必ずしも手書きでなければならないわけではありません。
一般的には、次のように退職する意思と退職日を簡潔に記載します。
このたび、一身上の都合により、2026年9月30日をもって退職いたします。
退職理由について、職場の人間関係や給与への不満などを長々と書く必要はありません。
自己都合退職の場合は、「一身上の都合により」と簡潔に記載する方法があります。
氏名だけ手書きにする方法もある
「全部パソコンで作るのは少し不安」という方は、本文をパソコンで作成し、最後の氏名だけ手書きで署名する方法もあります。
たとえば、
〇〇部〇〇課
山田 太郎
と記載する場合、「〇〇部〇〇課」まではパソコンで入力し、「山田 太郎」の部分だけを自筆にする形です。
自筆署名にすると、本人が作成・提出した書類であることが分かりやすくなります。
ただし、氏名を必ず手書きにしなければ退職届が無効になる、という意味ではありません。
会社指定の書式に「自署」と書かれている場合は、その指示に従いましょう。
日付もパソコン入力でいい?
退職届の日付についても、必ず手書きでなければならないという一律の決まりがあるわけではありません。
ただし、重要なのは「提出日」と「退職日」を混同しないことです。
たとえば、2026年8月24日に退職届を提出し、2026年9月30日に退職する場合は、
2026年8月24日
このたび、一身上の都合により、2026年9月30日をもって退職いたします。
という形になります。
「いつ退職届を提出したのか」と「いつ退職するのか」は別の日付なので、間違えないようにしましょう。
「では、退職届は実際いつ頃出せばいいの?」と迷っている方は、退職を伝えるタイミングを以下の記事で詳しく解説しています。
縦書き・横書きはどちらでもいい?
退職届は縦書きで作られることも多いですが、横書きだからという理由だけで直ちに無効になるものではありません。
会社指定のフォーマットがなければ、必要事項が分かりやすく記載されていることが大切です。
Wordなどで作成する場合は、無理に装飾せず、一般的なビジネス文書として読みやすい形式にしましょう。
退職届で手書きにした方がいい部分は?
退職届をパソコンで作れると分かっても、
「じゃあ、手書きする部分はまったくなくてもいいの?」
と迷う方もいるでしょう。
会社のルールによって異なりますが、特に迷いやすい「署名・印鑑・封筒」について見ていきます。
氏名は手書きにすると本人作成だと分かりやすい
退職届の氏名を自筆で署名しておくと、本人自身が作成した書類であることが分かりやすくなります。
そのため、特に会社から指定されていない場合でも、
「本文はパソコン+氏名は手書き」
という形にしておくのは、実務上取りやすい方法の一つです。
ただし、自筆署名が法律上常に必須というわけではありません。
退職届に印鑑は必要?
退職届について、必ず印鑑を押さなければならないという一律の法律上のルールがあるわけではありません。
そのため、押印していないという理由だけで、当然に退職意思がなかったことになるわけではありません。
ただし、会社指定の退職届に押印欄がある場合は、その書式に沿って提出した方が手続きを進めやすいでしょう。
会社から押印を求められている場合は、使用する印鑑についても社内ルールを確認してください。
シャチハタでもいい?
会社から押印を求められている場合、シャチハタなどの浸透印を認めていない会社もあります。
会社のルールが分からない場合は、認印を使用する方が無難でしょう。
退職届の封筒も手書きじゃないとダメ?
退職届を入れる封筒についても、法律で一律に手書きが義務付けられているわけではありません。
一般的には、封筒の表面中央に、
退職届
と記載します。
裏面には、
〇〇部〇〇課
山田 太郎
など、所属部署と氏名を書いておくと、誰から提出された書類なのか分かりやすくなります。
封筒への記載量は少ないため、手書きする人も多いですが、必ず手書きでなければならないという意味ではありません。
白封筒と茶封筒ならどちらがいい?
退職届を入れる封筒には、中身が透けにくい無地の白封筒が使われることが多いです。
郵便番号枠や派手なデザインがない、シンプルな封筒を選ぶと使いやすいでしょう。
会社から「退職届は手書きで出して」と言われたら?
ここは特に重要なポイントです。
会社から、
「退職届は手書きで提出してください」
と言われることがあります。
会社内部の手続きとして手書きの書類を求められているだけであれば、特別な事情がない限り、指定された方法に合わせて書き直した方が手続きはスムーズです。
ただし、
- 会社内部の書類として手書きで再提出してほしい
- 手書きではないから退職そのものを認めない
という2つの問題は分けて考える必要があります。
会社指定の退職届があるなら使用した方がスムーズ
会社によっては、独自の退職届や退職申請書を用意している場合があります。
たとえば、
- 会社指定の退職届を使用する
- 直属の上司を通して提出する
- 人事部へ提出する
- 社内システムでも申請する
といった手続きが決められていることがあります。
退職日などの内容に問題がないのであれば、会社側が処理しやすい指定フォーマットを使用した方が、余計なやり取りを減らせます。
「パソコンだから退職を認めない」と言われた場合は別問題
一方で、会社から、
「パソコンで作った退職届だから、退職そのものを認めない」
と言われた場合は、単なる社内書類の書き直しとは別の問題です。
期間の定めがない雇用契約では、民法627条により、労働者側から解約を申し入れることができます。
そのため、「会社が退職を承諾しない限り絶対に辞められない」と一律に考える必要はありません。
ただし、有期労働契約では扱いが異なるため、自分の雇用契約の内容も確認しておきましょう。
退職届を出したあとに「その退職日は認められない」と言われた場合は、退職日を誰が決めるのかについても確認しておきましょう。
【コピペOK】パソコンで作る退職届テンプレート
会社指定の退職届がない場合は、Wordなどを使って自分で作成することもできます。
難しく考える必要はありません。退職届では、主に次の内容が分かるようにしておきます。
- 退職届であること
- 提出日
- 会社名・代表者名
- 自分の所属部署・氏名
- 退職する意思
- 退職日
以下は、横書きで作成する場合のシンプルな例です。
パソコンで作る退職届の例文
退職届
2026年8月24日
株式会社〇〇
代表取締役 〇〇 〇〇 殿〇〇部〇〇課
山田 太郎このたび、一身上の都合により、2026年9月30日をもって退職いたします。
以上
そのままWordなどへコピーし、会社名・氏名・日付・所属部署を自分の状況に合わせて変更してください。
氏名を手書きにしたい場合は、「山田 太郎」の部分を空欄にして印刷し、最後に自筆で署名する方法でもよいでしょう。
退職理由は「一身上の都合」でいい?
自己都合で退職する場合は、退職届に職場への不満や詳しい事情まで書く必要はありません。
一般的には、
このたび、一身上の都合により、〇年〇月〇日をもって退職いたします。
と簡潔に記載する方法があります。
上司へ退職理由をどう伝えるかという問題と、退職届に記載する文面は分けて考えましょう。
「退職届には一身上の都合と書けても、上司には実際なんて説明すればいい?」と迷っている方は、以下の記事も参考にしてください。
Wordで作るときは読みやすさを優先する
退職届は、デザイン性を競う書類ではありません。
Wordなどで作成する場合は、派手な装飾や色を使わず、一般的なビジネス文書として読みやすい形に整えましょう。
重要なのは、「誰が・いつ・いつ退職するのか」が明確に分かることです。
パソコンで作った退職届を受け取ってもらえない場合は?
退職届を提出したところ、会社から、
「パソコンで作ったものは受け取れない」
と言われることも考えられます。
この場合は、まず「書式だけが問題なのか」「退職そのものを拒否されているのか」を切り分けましょう。
書式だけが問題なら会社指定の方法へ変更する
会社が単に、
- 手書きで提出してほしい
- 会社指定の用紙を使ってほしい
- 押印欄のある書式に書き直してほしい
と求めているのであれば、退職する意思そのものに争いがない限り、指定された方法へ書き直した方が早く手続きを進められる場合があります。
たとえば、
「分かりました。会社指定の方法で提出し直します。」
と対応すればよいでしょう。
退職届そのものを受け取ってもらえない場合
注意したいのは、
「辞めること自体を認めないから、退職届も受け取らない」
と言われるケースです。
期間の定めがない雇用契約では、民法627条1項により、原則として解約の申入れから2週間が経過すると雇用契約が終了します。
原則として、解約の申入れから2週間が経過すると雇用契約が終了します。
そのため、会社が承諾しなければ絶対に退職できない、というわけではありません。
ただし、有期労働契約の場合は同じ扱いではありません。契約期間の途中で退職する場合は、民法628条の「やむを得ない事由」などが問題になることがあります。
また、なお、一定の例外を除き、1年を超える有期労働契約では、契約期間の初日から1年を経過した後であれば、労働基準法137条により、使用者へ申し出ることで契約期間の途中でも退職できます。
自分が無期契約なのか有期契約なのか分からない場合は、雇用契約書や労働条件通知書を確認しましょう。
退職届を出しても「辞めるのは認めない」「後任が決まるまで待って」と引き止められている方は、以下の記事も参考にしてください。
退職意思を伝えた記録を残す方法もある
会社が退職届を受け取らず、口頭で伝えても話が進まない場合は、いつ退職意思を伝えたのか記録が残る方法を検討することもあります。
会社とのトラブルが大きくなっている場合は、自己判断だけで進めず、労働局などの公的な相談窓口や弁護士などの専門家へ相談する方法もあります。
退職届の書き方ではなく、「会社が退職を認めてくれないこと」が問題になっている場合は、退職手続きそのものへの対応が必要です。
また、退職届は準備できても「上司に渡せない」「退職をどうしても言い出せない」という方は、こちらの記事も参考にしてください。
自分で会社とやり取りすることが難しい場合は、退職代行を利用する方法もあります。
退職届が手書きじゃないとダメなのかよくある質問
退職届は全部パソコンで作ってもいいですか?
必ずしも全文を手書きにしなければならないわけではありません。
会社指定の書式やルールがなければ、本文をパソコンで作成して印刷する方法も考えられます。
不安な場合は、氏名だけ自筆で署名する方法もあります。
名前だけ手書きにすれば大丈夫ですか?
本文をパソコンで作成し、氏名だけ手書きにする方法は実務上取りやすい方法の一つです。
ただし、氏名を必ず手書きにしなければ退職届が成立しない、という一律の決まりがあるわけではありません。
会社指定の書式に「自署」と記載されている場合は、その指示に従いましょう。
退職届に印鑑は絶対必要ですか?
退職届に押印しなければならないという一律の法律上の決まりがあるわけではありません。
ただし、会社指定の書式に押印欄がある場合などは、会社ルールに沿って提出した方が手続きはスムーズです。
退職届の封筒も手書きじゃないとダメですか?
封筒についても、法律上必ず手書きにしなければならないという決まりがあるわけではありません。
一般的には、表面に「退職届」、裏面に所属部署と氏名を記載します。
退職届は横書きでも大丈夫ですか?
縦書きで作成されることも多いですが、横書きという理由だけで直ちに無効になるものではありません。
会社指定のフォーマットがある場合は、その形式に合わせましょう。
会社から「手書きで出して」と言われたらどうすればいいですか?
会社内部の手続きとして手書きを求められているのであれば、特別な事情がない限り、指定された方法へ書き直した方が早く進む場合があります。
ただし、
「手書きの書類を再提出してほしい」
という話と、
「手書きでないから退職自体を認めない」
という話は別です。
退職そのものを拒否されている場合は、退職意思の伝え方や雇用契約の内容を確認する必要があります。
パソコンで作った退職届は失礼ですか?
パソコンで作成したという理由だけで、一律に失礼になるわけではありません。
必要事項を正確に記載し、会社の手続きを確認したうえで丁寧に提出することの方が重要です。
まとめ|退職届は「手書きかどうか」より退職意思を明確にすることが大切
退職届は、必ずしも全文を手書きにしなければならないわけではありません。
会社指定の書式がなければ、Wordなどで本文を作成し、印刷して提出する方法もあります。
最後に、この記事のポイントを整理します。
- 退職届は必ずしも全文手書きでなくてもよい
- 本文をパソコンで作成する方法もある
- 迷う場合は氏名だけ自筆にする方法もある
- 日付はパソコン入力でもよいが、提出日と退職日を間違えない
- 印鑑が一律に法律上必須というわけではない
- 会社指定の書式がある場合は、その方法に合わせると手続きがスムーズ
- 「社内書類の形式」と「退職する意思そのもの」は分けて考える
最も重要なのは、自分が退職する意思と退職日を会社へ明確に伝えることです。
「手書きじゃないとダメなのでは?」と形式ばかり気にして、退職の準備を止める必要はありません。
まずは就業規則や会社指定の退職手続きを確認し、自分が作成しやすい方法で準備を進めましょう。
もし、退職届を出しても受け取ってもらえない、強く引き止められて話が進まない、自分で会社とのやり取りを続けることが難しい場合は、専門家への相談や退職代行を利用する方法もあります。
自分で会社とのやり取りを続けるのが難しい方は、退職代行の料金・運営元・対応範囲を比較したうえで、利用するか判断してみてください。

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