中小企業の退職金は10年でいくら?自己都合の目安と100万円・200万円を解説

「中小企業で10年働いたら、退職金はいくらくらいもらえる?」

「10年も働いたのに、退職金が100万円くらいなら少ない?」

「自己都合で辞めると、退職金はかなり減るの?」

勤続10年が近づき、転職や退職を考えている方にとって、これまで働いてきた分の退職金がいくらになるのかは気になるところでしょう。

結論からいうと、中小企業で10年働いた場合の退職金は、すべての会社で一律に決まっているわけではありません。

ただし、一つの参考として東京都が公表している「中小企業の賃金・退職金事情(令和6年版)」を見ると、勤続10年・自己都合退職のモデル退職金は次のようになっています。

学歴 勤続年数 自己都合退職のモデル退職金
高校卒 10年 98万5,000円
高専・短大卒 10年 102万1,000円
大学卒 10年 112万5,000円

このデータだけを見ると、中小企業で勤続10年・自己都合退職なら、100万円前後が一つの参考水準になります。

ただし、ここで紹介している数字は全国すべての中小企業で実際に退職した人の単純平均ではありません。

東京都内の中小企業を対象に、学校卒業後すぐに入社し、普通の能力と成績で勤務した場合を想定した「モデル退職金」です。

そのため、「中小企業なら10年働けば必ず100万円もらえる」という意味ではありません。

この記事では、中小企業で勤続10年の場合の退職金について、自己都合・会社都合の違い、100万円・200万円は多いのか、中小企業退職金共済(中退共)の場合はいくらになるのか、自分の退職金を確認する方法まで分かりやすく解説します。

  1. 中小企業で勤続10年の退職金はいくら?
  2. 東京都のデータでは勤続10年・自己都合で100万円前後
  3. 自己都合と会社都合では勤続10年の退職金が違う場合がある
  4. 勤続10年で退職金100万円は少ない?
  5. 勤続10年で退職金200万円なら多い?
  6. 自己都合で勤続10年なら退職金はいくら?
  7. 「中小企業の退職金」と「中退共の退職金」は別物
  8. 中退共に10年加入したら退職金はいくら?
    1. 中退共の掛金は誰が払う?
  9. 勤続10年で辞めるのはもったいない?
    1. 現在と数年後の退職金を比較する
    2. 退職金だけでなく転職後の収入も考える
    3. 心身の負担が大きいなら退職金だけで判断しない
  10. 自分の退職金はいくら?確認する5つの方法
    1. ①就業規則を確認する
    2. ②退職金規程を確認する
    3. ③人事・総務へ確認する
    4. ④現在の退職金見込み額を確認する
    5. ⑤中退共なら加入期間と掛金を確認する
  11. 退職金の計算方法は会社によって違う
    1. 基本給などを基準に計算する方式
    2. ポイント制
    3. 会社独自の金額表・支給率表を使う方式
    4. 中退共の場合
  12. 勤続10年の退職金には税金がいくらかかる?
    1. 退職金には退職所得控除がある
    2. 勤続10年なら退職所得控除は400万円
    3. 退職金が400万円以下なら税金はかからない?
    4. 退職所得控除を超えた場合の基本的な計算方法
    5. 「退職所得の受給に関する申告書」も確認する
  13. 退職金が平均より少ない・もらえないときはどうする?
    1. まず会社の退職金規程を確認する
    2. 最低勤続年数を確認する
    3. 自己都合退職の計算方法を確認する
    4. 計算がおかしいと思ったら人事・総務へ確認する
    5. 退職金規程と実際の支給内容が違う場合
  14. 中小企業の退職金・勤続10年についてよくある質問
    1. 中小企業で10年働いたら退職金はいくらですか?
    2. 勤続10年で退職金100万円は少ないですか?
    3. 勤続10年で退職金200万円は多いですか?
    4. 自己都合で10年働いた場合はいくらですか?
    5. 中小企業と大企業ではどちらの退職金が多いですか?
    6. 中退共に10年加入するといくらですか?
    7. 中退共で月1万円を10年間ならいくらですか?
    8. 中退共の掛金は誰が払いますか?
    9. 勤続10年で退職するのはもったいないですか?
    10. 退職金はいつ振り込まれますか?
  15. まとめ|勤続10年の「平均」だけでなく自分の退職金制度を確認しよう

中小企業で勤続10年の退職金はいくら?

最初に押さえておきたいのは、「勤続10年=退職金○万円」という全国共通の金額はないということです。

そもそも退職金制度がない会社もあります。

退職金制度がある場合でも、金額は次のような条件によって変わります。

  • 勤続年数
  • 退職理由
  • 基本給などの賃金
  • 会社の退職金規程
  • 学歴や職種
  • 会社独自の支給率やポイント
  • 中小企業退職金共済などの外部制度を利用しているか

したがって、インターネットで見つけた「退職金の平均額」だけを見て、自分の退職金が多い・少ないと判断するのはおすすめできません。

まずは参考になる公的データを確認し、そのうえで自分の会社の退職金規程と照らし合わせることが重要です。

そもそも「何年働けば退職金の対象になるの?」というところから確認したい方は、退職金は何年目からもらえるのかもあわせて確認してください。

東京都のデータでは勤続10年・自己都合で100万円前後

中小企業の勤続10年の退職金を考える際に参考になる資料の一つが、東京都の「中小企業の賃金・退職金事情」です。

令和6年版では、東京都内の従業員10~299人の中小企業を対象に調査しています。

勤続10年・自己都合退職のモデル退職金は次のとおりです。

学歴 想定年齢 勤続年数 モデル退職金
高校卒 28歳 10年 98万5,000円
高専・短大卒 30歳 10年 102万1,000円
大学卒 32歳 10年 112万5,000円

いずれも、おおむね100万円前後です。

そのため、この東京都のモデルケースとの比較だけでいえば、勤続10年で退職金が100万円前後だからといって、極端に少ないとは言い切れません。

ただし、これはあくまで東京都内の中小企業を対象としたモデル退職金です。

全国すべての中小企業について「勤続10年の平均退職金は約100万円」と断定できる数字ではない点には注意してください。

自己都合と会社都合では勤続10年の退職金が違う場合がある

同じ会社で同じ10年間働いていても、自己都合退職と会社都合退職で退職金が違う場合があります。

会社の退職金規程によっては、退職理由ごとに支給率などを分けているためです。

東京都の令和6年調査にある勤続10年のモデル退職金を比較すると、次のようになります。

学歴 自己都合退職 会社都合退職
高校卒 98万5,000円 126万4,000円
高専・短大卒 102万1,000円 152万8,000円
大学卒 112万5,000円 144万8,000円

このモデルでは、すべての学歴区分で会社都合退職の方が高くなっています。

たとえば高校卒では、自己都合退職が98万5,000円、会社都合退職が126万4,000円です。

差額は27万9,000円になります。

ただし、すべての会社がこのような計算方法を採用しているわけではありません。

自分の退職金を知るには、「10年働いたか」だけでなく、自己都合退職の場合にどのような計算方法になるのかを退職金規程で確認する必要があります。

勤続10年で退職金100万円は少ない?

「10年も働いたのに退職金が100万円しかない」と聞くと、少ないと感じる方もいるでしょう。

しかし、100万円という金額だけを見て「少なすぎる」と判断することはできません。

先ほど紹介した東京都の令和6年調査では、勤続10年・自己都合退職のモデル退職金は次のとおりです。

  • 高校卒:98万5,000円
  • 高専・短大卒:102万1,000円
  • 大学卒:112万5,000円

この調査との比較だけでいえば、勤続10年で100万円前後という退職金は、極端に低い金額とはいえません。

一方で、大切なのは平均やモデル額との比較よりも、会社が退職金規程どおりに計算しているかです。

退職金が100万円だった場合は、次の項目を確認してみましょう。

  • 退職金の計算式
  • 勤続年数の数え方
  • 自己都合退職の支給率
  • 計算の基礎になる基本給などの金額
  • 会社独自の係数やポイント

東京都のモデル額より少なくても、会社の退職金規程どおりに正しく計算されている場合があります。

勤続10年で退職金200万円なら多い?

反対に、勤続10年で退職金が200万円だった場合はどうでしょうか。

東京都の令和6年調査にある勤続10年のモデル退職金と比べると、200万円は次のモデル額を上回ります。

退職区分 高校卒 高専・短大卒 大学卒
自己都合 98万5,000円 102万1,000円 112万5,000円
会社都合 126万4,000円 152万8,000円 144万8,000円

そのため、この東京都のモデルケースと比較する限り、勤続10年で200万円は高い水準と考えられます。

ただし、「200万円なら必ず多い」と断定することはできません。

会社によって退職金制度そのものが異なるためです。

また、会社によっては次のような複数の制度を利用している場合もあります。

  • 退職一時金
  • 企業年金
  • 確定給付企業年金
  • 企業型確定拠出年金
  • 中小企業退職金共済

「退職時にもらえる200万円」だけを見るのではなく、どの制度から、どのような形で支給されるお金なのかを確認しましょう。

自己都合で勤続10年なら退職金はいくら?

転職や家庭の事情など、自分から会社を辞める場合は、会社の制度上「自己都合退職」として退職金を計算するケースがあります。

東京都の令和6年調査では、勤続10年・自己都合退職のモデル退職金は次のようになっています。

学歴 自己都合退職のモデル退職金
高校卒 98万5,000円
高専・短大卒 102万1,000円
大学卒 112万5,000円

したがって、東京都のモデルケースではおよそ100万~110万円台です。

ただし、自分の退職金がこの金額になるわけではありません。

会社ごとに退職金規程や支給率が違うため、正確な金額は自社の制度で確認してください。

「中小企業の退職金」と「中退共の退職金」は別物

「中小企業 退職金 10年」と検索していると、「中小企業退職金共済」や「中退共」という言葉を見ることがあります。

名前が似ているため混同しやすいのですが、次の2つは分けて考える必要があります。

  • 中小企業で働く人の退職金の平均・モデル金額
  • 中小企業退職金共済(中退共)から支給される退職金

中退共は、中小企業の事業主が従業員のために利用できる退職金制度です。

事業主が中退共と契約して毎月掛金を納付し、従業員が退職したときには、本人の請求に基づいて中退共から退職金が支払われます。

中退共の退職金は、「中小企業で10年働いた人の平均額」で決まるわけではありません。

掛金月額と掛金を納付した月数などによって金額が変わります。

中退共に10年加入したら退職金はいくら?

中退共に10年間加入していた場合でも、毎月の掛金額によって退職金は異なります。

掛金月額を途中で変更せず、120か月(10年間)納付した場合の基本退職金は次のとおりです。

毎月の掛金 10年間の掛金総額 10年後の基本退職金
5,000円 60万円 63万2,800円
1万円 120万円 126万5,600円
2万円 240万円 253万1,200円
3万円 360万円 379万6,800円

たとえば、掛金月額1万円を10年間(120か月)納付した場合、基本退職金は126万5,600円です。

月額2万円なら253万1,200円、月額3万円なら379万6,800円となります。

なお、中退共の退職金は基本退職金だけではなく、付加退職金が加算される場合があります。

そのため、上記の金額は「最終的な受取額が必ずこの金額になる」という意味ではなく、基本退職金額として確認してください。

中退共の掛金は誰が払う?

中退共の掛金は、事業主が全額負担します。

従業員に掛金の一部を負担させることはできません。

また、同じ会社に10年間勤務しているからといって、中退共にも10年間加入しているとは限りません。

たとえば、入社から数年後に会社が中退共へ加入した場合は、勤続年数より中退共の加入期間が短くなる可能性があります。

中退共を利用している会社で働いている場合は、次の項目を確認しておきましょう。

  • 中退共に加入しているか
  • いつから加入しているか
  • 自分の掛金月額はいくらか
  • 何か月分の掛金が納付されているか
  • 途中で掛金月額が変更されていないか

勤続10年で辞めるのはもったいない?

10年間働いてきた人ほど、退職するときに「ここまで働いたなら、あと数年残った方が得なのでは?」と迷うことがあります。

確かに、会社の退職金制度によっては、勤続年数が長くなることで退職金が増える可能性があります。

しかし、退職金だけを理由に「10年で辞めるのはもったいない」と決める必要はありません。

まず確認したいのは、現在辞めた場合と、数年後に辞めた場合で退職金がどれくらい変わるのかです。

現在と数年後の退職金を比較する

勤続10年で退職を迷っているのであれば、退職金規程を確認するか、人事・総務へ現在の退職金見込み額を確認してみましょう。

可能であれば、勤続15年など、数年後まで働いた場合の見込み額も確認します。

たとえば、次の2つが分かれば判断しやすくなります。

  • 勤続10年で退職した場合の退職金
  • 勤続15年まで働いた場合の退職金

その差額を確認したうえで、「その金額のためにあと5年間働くか」を考えることができます。

退職金だけでなく転職後の収入も考える

退職金だけを見ると、長く勤務した方が得に見える場合があります。

しかし、転職によって給与が上がるのであれば、退職金の増加額だけでは判断できません。

「退職金を考えると残った方がいい気もする。でも転職もしたい」と迷っている方は、今の会社に残るか転職するかの判断基準も参考にしてください。

退職時期を考えるときは、次の項目も合わせて比較しましょう。

  • 現在の退職金
  • 数年後の退職金見込み額
  • 現在の給与
  • 今後の昇給
  • 賞与
  • 転職後の年収
  • 残っている有給休暇
  • 現在の働き方や負担

「退職金が増えるから今の会社に残る」と決めるのではなく、今後得られる収入や働き方全体で考えることが大切です。

退職時期がボーナスの支給日と近い方は、退職を伝えるタイミングも確認しておきましょう。ボーナス前に退職を伝える場合の注意点と損しにくいタイミングも確認しておきましょう。

心身の負担が大きいなら退職金だけで判断しない

一方で、次のような状態が続いている場合は、退職金の金額だけで退職時期を判断しない方がよいでしょう。

  • 毎朝仕事へ行くのがつらい
  • 強いストレスが続いている
  • 職場でハラスメントを受けている
  • 仕事によって体調に変化が出ている

「あと数年働けば退職金が増える」という理由だけで無理を続けるのではなく、現在の働き方や今後のキャリアも含めて考えてください。

もし「退職金のことは気になるけれど、毎朝会社へ行くこと自体がもうつらい」という状態なら、仕事に行きたくないけど行くしかないと感じる朝の対処法も参考にしてください。

自分の退職金はいくら?確認する5つの方法

平均額やモデル退職金を調べても、最終的に知りたいのは「自分はいくらもらえるのか」という点ではないでしょうか。

退職金の金額は会社によって違うため、東京都のモデル退職金やインターネット上の平均額だけでは正確な金額は分かりません。

自分の退職金を確認したい場合は、次の順番で調べてみましょう。

  1. 就業規則を確認する
  2. 退職金規程を確認する
  3. 人事・総務へ確認する
  4. 現在の退職金見込み額を確認する
  5. 中退共なら加入期間と掛金を確認する

①就業規則を確認する

まず確認したいのが会社の就業規則です。

退職金について、次のような内容が記載されている場合があります。

  • 退職金制度があるか
  • どの従業員が対象になるか
  • 最低勤続年数が設定されているか
  • 別途「退職金規程」が設けられているか

特に注意したいのが、「会社に10年勤めている=必ず退職金をもらえる」とは限らないことです。

退職金制度そのものがない会社もあります。

まずは、自分の会社に退職金制度があるのかを確認しましょう。

②退職金規程を確認する

具体的な退職金額を調べるうえで重要なのが、会社の退職金規程です。

退職金規程がある場合は、特に次の項目を確認してください。

  • 最低勤続年数
  • 勤続年数の数え方
  • 退職金の算定基礎額
  • 自己都合退職の支給率
  • 会社都合退職の支給率
  • 退職金の計算方法
  • 退職金の支給時期

たとえば、同じ勤続10年でも、自己都合退職と会社都合退職で支給率が違えば、受け取る退職金額も変わります。

「10年働いたらいくら」という数字だけではなく、自分がどの条件で計算されるのかまで確認することが大切です。

③人事・総務へ確認する

退職金規程を読んでも計算方法が分からない場合は、人事や総務へ確認しましょう。

たとえば、次のように聞く方法があります。

「現在、勤続10年ですが、今退職した場合の退職金の見込み額を確認できますか?」

退職を決める前であっても、会社によっては現在時点での退職金見込み額を確認できる場合があります。

④現在の退職金見込み額を確認する

勤続10年を節目に転職するか迷っている場合は、できれば現在の退職金見込み額を具体的な金額で確認しておきましょう。

さらに可能であれば、

  • 今辞めた場合
  • 勤続15年まで働いた場合
  • 勤続20年まで働いた場合

など、将来の退職金がどの程度変わるのかも確認すると判断材料になります。

「あと5年働けば退職金が増える」というだけではなく、実際にいくら増えるのかまで確認することが重要です。

⑤中退共なら加入期間と掛金を確認する

会社が中小企業退職金共済(中退共)を利用している場合は、会社独自の退職金規程とは確認するポイントが異なります。

次の項目を確認しましょう。

  • 中退共に加入しているか
  • 自分がいつから加入しているか
  • 毎月の掛金はいくらか
  • 何か月分納付されているか
  • 途中で掛金月額が変更されていないか

同じ会社に10年間勤めていても、中退共への加入期間が10年間とは限りません。

会社が入社後に中退共へ加入した場合などは、勤続年数より加入期間が短い可能性があります。

退職金の計算方法は会社によって違う

退職金が会社によって大きく違う理由の一つが、計算方法の違いです。

代表的な仕組みとしては、次のようなものがあります。

  • 基本給などを基準に計算する方式
  • ポイント制
  • 勤続年数ごとの金額表・支給率表を使う方式
  • 中小企業退職金共済(中退共)

基本給などを基準に計算する方式

会社によっては、退職時の基本給などを基準にして、勤続年数や支給率を組み合わせて退職金を計算します。

イメージとしては、次のような形です。

退職金算定の基礎額 × 勤続年数などに応じた支給率

ただし、これはあくまで一つの考え方です。

「基本給×勤続年数」で単純に計算できるとは限りません。

実際の計算式は会社の退職金規程を確認してください。

ポイント制

勤続年数、職務、役職、等級などに応じて毎年ポイントを付与し、累積したポイントをもとに退職金を計算する制度もあります。

ポイント制の場合、同じ勤続10年でも、役職や職務などによって退職金額が異なる可能性があります。

会社独自の金額表・支給率表を使う方式

会社によっては、勤続年数ごとに退職金額や支給率を定めた表を用意している場合があります。

たとえば、

  • 勤続5年
  • 勤続10年
  • 勤続15年
  • 勤続20年

などの節目によって、金額や支給率が変わる仕組みです。

この場合、「10年で100万円なら15年で150万円」のように単純比例するとは限りません。

中退共の場合

中退共の場合は、会社独自の「基本給×勤続年数」といった計算ではありません。

掛金月額や掛金を納付した月数などをもとに退職金額が決まります。

そのため、一般的な中小企業のモデル退職金と、中退共の退職金をそのまま比較するのは適切ではありません。

勤続10年の退職金には税金がいくらかかる?

退職金が100万円、200万円と分かると、次に気になるのが「ここから税金はいくら引かれるの?」という点ではないでしょうか。

退職金は、税務上「退職所得」として扱われます。

ただし、退職金には「退職所得控除」があるため、受け取った退職金の全額にそのまま税金がかかるわけではありません。

退職金には退職所得控除がある

一般的なケースで勤続年数が20年以下の場合、退職所得控除額は次のように計算します。

40万円 × 勤続年数

なお、計算した金額が80万円未満の場合は、退職所得控除額は80万円となります。

勤続10年なら退職所得控除は400万円

勤続10年の場合は、

40万円 × 10年 = 400万円

となるため、一般的なケースでは退職所得控除額は400万円です。

そのため、退職金が100万円や200万円で、ほかに調整が必要となる特殊な事情がなければ、退職所得控除の範囲内に収まります。

退職金が400万円以下なら税金はかからない?

一般的なケースで、退職金の収入金額が退職所得控除額以下であれば、課税対象となる退職所得金額は0円になります。

たとえば、勤続10年で退職所得控除額が400万円の場合、退職金が200万円なら控除額の範囲内です。

ただし、同じ年や一定期間内に別の退職金を受け取っている場合など、計算方法が変わるケースがあります。

「勤続10年で退職金400万円以下なら、どんな場合でも必ず税金が0円」と一律に考えないようにしましょう。

退職所得控除を超えた場合の基本的な計算方法

一般的な退職手当等では、退職所得の金額は基本的に次のように計算します。

(退職金の収入金額-退職所得控除額)×1/2

たとえば、退職所得控除額を超える退職金を受け取った場合でも、単純に超過額のすべてがそのまま課税所得になるわけではありません。

ただし、役員としての勤続期間がある場合や短期勤続に対応する退職手当などでは、計算方法に例外があります。

「退職所得の受給に関する申告書」も確認する

退職金を受け取る際には、退職金を受け取る際は、原則として「退職所得の受給に関する申告書」を退職金の支払者へ提出します。

この申告書を提出していない場合、退職手当等の支給額に対して20.42%の所得税・復興特別所得税が源泉徴収されます。

通常は勤務先などから提出について案内されますので、退職金を受け取る前に確認しておきましょう。

退職金が平均より少ない・もらえないときはどうする?

東京都のモデル退職金などと比べて、

「自分の退職金がかなり少ない」

「10年も働いたのに退職金がもらえない」

と疑問を感じることもあるでしょう。

ただし、まず確認すべきなのは平均額ではありません。

まず会社の退職金規程を確認する

東京都などが公表しているモデル退職金は、あくまで比較のための参考データです。

モデル額より少ないからといって、それだけで会社の計算が間違っているとは判断できません。

まずは会社の退職金規程を確認し、どのような条件で計算されているのかを確認してください。

最低勤続年数を確認する

会社に退職金制度があっても、一定の勤続年数を満たしていない従業員を支給対象外としている場合があります。

退職金がもらえない場合は、まず最低勤続年数の条件を確認しましょう。

自己都合退職の計算方法を確認する

会社によっては、自己都合退職と会社都合退職で計算方法や支給率が異なる場合があります。

予想していた金額より少ない場合は、自分がどの退職区分で計算されているのかも確認してください。

計算がおかしいと思ったら人事・総務へ確認する

退職金規程を確認しても金額が合わない場合は、人事や総務へ計算根拠を確認しましょう。

たとえば、次のように伝えることができます。

「今回の退職金について、計算根拠を確認したいです」

勤続年数、算定基礎額、支給率など、どの数字を使って計算したのかを確認すると原因を把握しやすくなります。

退職金規程と実際の支給内容が違う場合

退職金規程などで支給条件が定められているにもかかわらず、規程どおりに支給されていないと考えられる場合は、まず会社へ確認しましょう。

それでも解決しない場合は、公的な労働相談窓口や弁護士などへ相談する方法もあります。

会社との話し合いで解決せず、「弁護士に相談したいけれど費用が心配」という方は、退職トラブルを弁護士へ相談するときの費用も参考にしてください。

中小企業の退職金・勤続10年についてよくある質問

中小企業で10年働いたら退職金はいくらですか?

会社によって異なるため、一律には決まりません。

参考として東京都の令和6年調査では、勤続10年・自己都合退職のモデル退職金は、高校卒98万5,000円、高専・短大卒102万1,000円、大学卒112万5,000円です。

東京都のモデルケースでは、おおむね100万円前後が一つの参考水準になります。

勤続10年で退職金100万円は少ないですか?

100万円という金額だけで、少ないとは判断できません。

東京都のモデル退職金では、勤続10年・自己都合退職で100万円前後となるケースがあります。

最終的には、自分の会社の退職金規程と比較してください。

勤続10年で退職金200万円は多いですか?

東京都の令和6年調査にある勤続10年のモデル退職金と比較すれば、200万円は高い水準です。

ただし、会社の制度や退職理由、基本給などの条件が異なるため、200万円という金額だけで一律に判断することはできません。

自己都合で10年働いた場合はいくらですか?

会社によって異なります。

東京都の令和6年調査では、勤続10年・自己都合退職のモデル退職金は、高校卒98万5,000円、高専・短大卒102万1,000円、大学卒112万5,000円です。

中小企業と大企業ではどちらの退職金が多いですか?

会社規模だけで、自分が受け取る退職金額を判断することはできません。

会社ごとに退職金制度、勤続年数、退職理由、賃金水準などが異なるためです。

異なる調査の平均額だけを単純に比較するのではなく、自分の会社の退職金制度を確認することが重要です。

中退共に10年加入するといくらですか?

掛金月額によって異なります。

掛金を120か月納付した場合の基本退職金は、掛金月額1万円なら126万5,600円、月額2万円なら253万1,200円です。

実際には付加退職金が加算される場合があります。

中退共で月1万円を10年間ならいくらですか?

掛金月額1万円を120か月納付した場合、基本退職金は126万5,600円です。

なお、実際の受取額には付加退職金が加算される場合があります。

中退共の掛金は誰が払いますか?

中退共の掛金は事業主が全額負担します。

従業員に掛金の一部を負担させることはできません。

勤続10年で退職するのはもったいないですか?

退職金だけで判断する必要はありません。

現在の退職金と数年後の見込み額を比較したうえで、

  • 今後の給与
  • 転職後の年収
  • 賞与
  • 有給休暇
  • 働き方
  • 現在の負担

なども含めて判断しましょう。

退職金はいつ振り込まれますか?

退職金の支給時期は、会社の就業規則や退職金規程などによって異なります。

あらかじめ退職金の支払時期が定められている場合は、原則としてその時期に支払われます。

一方、支払時期が定められていない場合には、退職者から請求があれば、原則として請求から7日以内に支払う必要があります。

そのため、退職金が退職日や最終給与の支給日と必ず同じ日に振り込まれるわけではありません

退職する前に、退職金規程や人事・総務へ確認しておくとよいでしょう。

まとめ|勤続10年の「平均」だけでなく自分の退職金制度を確認しよう

中小企業で勤続10年の退職金がいくらになるかは、すべての会社で同じではありません。

参考として東京都の令和6年調査では、勤続10年・自己都合退職のモデル退職金は次のようになっています。

学歴 勤続10年・自己都合退職のモデル退職金
高校卒 98万5,000円
高専・短大卒 102万1,000円
大学卒 112万5,000円

この東京都のモデルケースでは、勤続10年・自己都合退職なら100万円前後が一つの参考水準になります。

ただし、この数字は全国すべての中小企業で実際に退職した人の単純平均ではありません。

また、中小企業退職金共済(中退共)を利用している場合は、一般的なモデル退職金とは計算方法が異なり、掛金月額や納付月数などによって退職金額が決まります。

自分の退職金を知りたい場合は、次の順番で確認しましょう。

  1. 会社に退職金制度があるか確認する
  2. 就業規則・退職金規程を確認する
  3. 自己都合退職の計算方法を確認する
  4. 現在の退職金見込み額を確認する
  5. 中退共なら掛金月額と納付月数を確認する

そして、「10年で辞めるともったいないのでは?」と迷っている場合は、退職金だけで判断しないことも大切です。

現在の退職金、数年後の見込み額、今後の給与、転職後の収入、賞与、有給休暇、働き方などをまとめて比較して、自分にとって納得できる退職時期を考えましょう。

退職時期が決まってきたら、次は具体的な退職日を考えます。退職日は誰が決めるのか、希望日に辞めるためのポイントも確認しておきましょう。

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